Eclipse用の新プロビジョニングサービス「PoweredByPulse」

MyEclipseのGenuitecは11月、Eclipseのプラグイン用の新しいプロビジョニングサービス「PoweredByPulse」を発表する。

» 2007年10月25日 08時55分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 Genuitecの新サービスでは、オープンソース開発プラットフォームであるEclipseに対応する多数のプラグインを検索、統合、利用するのが非常に簡単になるようだ。

 Eclipseユーザーは以前から、Eclipseプラグインソフトウェアのインストールと配布が容易でないという不満を口にしていた。人気の高い「MyEclipse」ツールのメーカーであるGenuitec(本社:テキサス州フラワーマウンド)では、「PoweredByPulse」という無償サービスを提供する予定だ。同社によると、このサービスは、商用、無償、あるいは両者の混在型を問わず、あらゆるタイプのソフトウェアのプロビジョニングのための事実上の標準メカニズムになる可能性があるという。Genuitecは、バージニア州レストンで11月6〜8日に開催される「Eclipse World」カンファレンスでこのサービスを発表する。

 Genuitecの共同創業者で同社の技術担当副社長を務めるトッド・ウィリアムズ氏は、「当面はEclipseベースのソフトウェアに専念するが、いずれはEclipseと非Eclipseソフトウェアの両方の分野のプロビジョニングに手を広げたい」と話している。

 PoweredByPulseは、この最初の目標の達成を狙った製品で、無償と有償のソリューションを統合して、個別ソフトウェアディストリビューション(カスタム「プロファイル」)を簡単に作成することができる。このディストリビューションはユーザーが自分専用として利用するだけでなく、ほかのユーザーと共有することもできる。

 ウィリアムズ氏によると、個別業界や垂直市場のユーザーはこのサービスを利用することにより、その業界向けにカスタマイズしたプロファイルを作成し、そのプロファイルをほかのユーザーと共有することができる。PoweredByPulseは、Eclipse技術に関連する2つの主要問題を解決するという。その問題とは、“プラグイン地獄”と“ツールの肥大化”である。

 PoweredByPulseサービスでは、すべての必要なプラグインの適切なバージョンが各構成プロファイルに基づいて確実にプロビジョニングされるため、“プラグイン地獄”は存在しなくなる。「これまでミスが起きやすかった手作業のタスクが、PoweredByPulseによって自動的に正しく実行されるからだ」とウィリアムズ氏は話す。

 加えて、ユーザーは特定のタスクに必要な機能だけが含まれる複数のプロファイルを自動的に作成できるようになるため、すべてのリソースを消費する1つの“スーパーツール”を手作業で作成しなくても済む。これにより“ツールの肥大化”という問題は過去のものになるという。

 PoweredByPulseサービスのそのほかの特徴としては、2Mバイトという小さなインストールサイズ、ミラーサイトの活用とコンポーネントの同時ダウンロードによる高速なインストール、Eclipse RCP(Rich Client Platform)ベースのクライアントによるリッチなユーザーエクスペリエンスと優れた使い勝手、「スプラッシュフェード」を利用したPoweredByPulseブランドと製品ブランドの表示、カスタマイズ可能なプログラムグループとデスクトップアイコンのデスクトップ上での統合による素早いプロファイル起動、クロスプラットフォーム機能(WindowsとLinuxには11月に対応し、その後、Macintoshもサポート予定)などがある。

 ウィリアムズ氏によると、PoweredByPulseのユーザーインタフェースには、詳細な製品説明、クロスセル、レーティング、リダイレクション用としてカスタマイズ可能な領域が用意されている。プライベートな招待グループの間でプロファイルを共有するといったIMクライアント的な機能もある。また、ユーザーに製品の試用を促すために、カスタマイズできないプロファイルを匿名で使用できるようにしたという。

 PoweredByPulseは「Eclipse Maya」プロジェクトをベースとする。これは、現在では「Maynstall」として知られるインキュベーションプロジェクトで、企業がEclipseプラットフォームをベースとして社内/社外向けのツールを構築するのに必要なプロビジョニングサービスを提供するための最初のステップとなるもの。

 Eclipse Foundationの幹部によると、このプロジェクトは一元的な配備モデルを促進することを狙っているのに対し、Eclipseの標準アップデートメカニズムは個々のユーザーに権限を与えるものだという。

 Maynstallプロジェクトの目標は、拡張可能なフレームワークと典型的なアプリケーションを提供することにより、Eclipse Equinox内のサービスおよびアップデートサイトで公開されるコンテンツを利用したEclipseベースの製品の自動配備を可能にすることである。Eclipse幹部によると、このプラットフォームは拡張可能なので、プロジェクト内で直接実装され配備モードだけでなく、複数の配備モード(商用ソフトウェアを含む)で利用することができるという。Maynstallでは、Eclipseプラットフォームに加え、Eclipseをベースとするツールや製品の自動配布も可能だ。

 GenuitecでPoweredByPulseを担当するプロダクトマネジャーのティム・ウェッブ氏は6月にCisco Systemsから同社に転職し、Mayaプロジェクトの基本コードの大半を作成した。同氏はMayaプロジェクトの技術責任者を務める。

 ウェッブ氏はGenuitecの取り組みについて、「Maynstallをベースに多くのカスタマイズを施した」と話す。同氏はPulseに数々の技術的ノウハウを盛り込んだという。

 ウィリアムズ氏によると、Eclipseは広く利用されているが、エンドユーザーにとっては非常にハードルが高いという。「今のところ、誰でも使えるツールをそろえるのは極めて困難だ。この配布チャネルを作成することにより、何が利用可能であるかをユーザーに示すとともに、ユーザーがプロファイルを作成できるようにした」と同氏。

 「また、われわれがこのようなポータルを持っていることで、多くの人々が注目するだろう。注目が集まれば、それだけ多くの人々がわれわれのソフトウェアを試すようになるわけだ」とウィリアムズ氏は話す。

 ウィリアムズ氏によると、Genuitecはこの取り組みでパートナーと協業することや、将来的には同技術のエンタープライズ版を提供することなどについても検討しているという。「商用製品ベンダーとも提携し、進行中のプロジェクトの資金確保に協力するつもりだ。そこには営利化という要素も含まれる。商用製品パートナーのユーザーが製品をダウンロードできるようにするのに協力したい」と同氏は話す。

 ウェッブ氏によると、CiscoがEclipseに提供したMaya技術は、エンタープライズプロビジョニングモデルをベースとしたものだという。

 ウィリアムズ氏は以前、「Pulse技術は実証済みであり、エンタープライズモデルを提供する可能性もある」と述べていた。

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