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» 2007年11月03日 06時30分 UPDATE

ジャスパー・チャン氏登壇:Amazonに見る“検索とビジネス”の関わり

AmazonがECにおいて確固たる地位を築いたその裏側には、“検索”に対する大規模な投資が関係している。とあるフォーラムに登壇したアマゾン ジャパンのジャスパー・チャン代表取締役社長は、Amazonのビジネス成功の秘訣を検索の観点から取り上げた。

[藤村能光,ITmedia]

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 オンラインショッピングといえばAmazonといっても過言ではない。そのたぐいまれなるビジネスモデルは近年のEC(電子商取引)ビジネスの火付け役を果たし、またロングテールを利用し現在2000万件以上の製品を取り扱っているという点において、ほかのECサイトの追随を許さないものとなっている。

 だがAmazonが確固たる地位を築いた理由はそれだけにとどまらない。成功の裏側には、検索”に対する大規模な投資が関係しているという。10月31日に都内で開催された「『検索』が生む新しいビジネス」フォーラム。その基調講演に登壇したアマゾン ジャパンのジャスパー・チャン代表取締役社長は、Amazonのビジネスを検索の観点から説明した。

image アマゾン ジャパンのジャスパー・チャン代表取締役社長

Amazonが検索を追求する理由

 アマゾンでは顧客満足度を高めるために、「SELECTION(製品の選定)、CONVENIENCE(ユーザーの利便性)、PRICE(価格)」の3点を掲げている。キーワード検索、著者名や出版社などを入力する詳細検索、ブランドや価格帯といったカテゴリーを用いた絞り込み検索、ユーザー購入履歴に応じて製品を推奨するレコメンデーション機能などが、Amazonの利便性を生み出す核となっている。

 より優れた製品を提供すると、ユーザーは「探しているものが必ず見つかる」という体験をする。それによりWebサイトへのトラフィックが増え、さまざまな企業がAmazonに参加する。製品の提供者、ユーザーともに参加が増えれば、コスト構造とともに価格が下がる。Amazonが検索に投資する理由はこのビジネスモデルを循環させることにある。

image Amazon.comの創始者ジェフ・ペゾス氏が書いたAmazonのビジネスモデルを示すコンセプト図

本“が”ユーザーを見つける

 講演では米国と日本の事例を基に、検索とAmazonのビジネスがどのように関連しているかが説明された。

 米Amazon.comでは、書籍検索の新たなサービスが始まっている。掲載している書籍のタイトルをマウスオーバーすると、その本のタイトルが引用されている書籍を表示したり、書籍の中で頻出する単語の索引をタグクラウド形式で表示することもできる。頻出用語は大きなフォントで表示される。

image フォントの大きい用語が頻出キーワードを示す。

 また書籍内にある大文字の単語を抜き出して分析し、これらの情報からその書籍の内容を類推して、内容を評価し、インデックス化するという試みもなされている。大文字を調べるのは、「地名や人名、重要な単語などの固有名詞に大文字が使われている」(チャン氏)から。

 ユーザーはその書籍を、頻出単語や内容といった客観的な指標から見極めることができる。「本(の内容)がユーザーを見つける」(チャン氏)イメージだ。

“ケータイ”世代を取り入れよ

 「モバイルサイトを使用する60%が若年層」「Amazonにおいて購入頻度が高いのはモバイルサイト」(チャン氏)――オンラインショッピングに携帯電話を使用することはもはや欠かせない動きとなっている。

 日本では、携帯電話のカメラで製品のバーコードを読み取り、アマゾンの商品ページへアクセスするAmazonスキャンサーチや、メールのタイトルもしくは本文内に製品名や著者などを入力すると、それらの検索結果を示したURLがメールで返信されるAmazonモバイル検索メールなどがすでに開始されている。

 Amazon.comでは、ユーザーが付けたタグから製品を検索できる「タグ機能」がある。講演では、ユーザーが製品に「happy」といった人間の感情をタグ付けすることで、感情を考慮した製品検索を行う例が説明された。


 Amazonのビジョンは、「地球上で最も豊富なセレクションを提供する」こと、すなわちオンライン上からあらゆるものを探し、発見し、購入できる場所を作ることと言い換えられる。

 それはユーザーにとって「素晴らしい体験」を提供することと同義である。Amazonはこうした取り組みを基に、「製品と人の関係をより強めていきたい」(チャン氏)と考える。

 検索を行う対象、そして得られた検索結果を活用するのは誰でもなく人間だ。今後の検索に「ユーザーの体験や満足度」といった観点が取り入れられていくのは、ある種必然といえることではないか。

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