シスコ、「無停止スイッチ」などエリア別企業ネットワーク製品群

シスコシステムズは、LANスイッチの仮想化エンジンなど新しい企業向け戦略に基づく製品を複数発表した。

» 2007年11月06日 17時28分 公開
[堀見誠司,ITmedia]

 シスコシステムズは11月6日、企業向けLANスイッチ、ルータを強化する製品群を発表した。仮想クラスタ機能搭載の「Catalyst」向け拡張モジュールなど、本社の基幹ネットワークや拠点ネットワークといったセグメントごとのニーズに応えるラインアップをそろえた。

 同社は今回、高度化、複雑化するインフラ機能をサポートする企業ネットワークを、基幹ネットワーク、ブランチネットワーク、データセンターの3つのセグメントに分けて、それぞれのシステム設計上の要件に応えるよう製品をリリースしていく新戦略を打ち出した。「『ルータです』『スイッチです』『速くてすぐつながります』ではなく、どこのネットワークをどうしてくれるのかというアプローチの下、製品をエリアごとに整理した」(ルーティング&スイッチマーケティングの北かおりシニアプロダクトマネージャ)。

 発表されたのは、3つのセグメントのうち「基幹」「ブランチ」に該当する製品で、LANスイッチの機能強化モジュール、ラインカードや拠点向け統合型ルータなどが含まれる。

画像 Catalyst用スイッチエンジン「Supervisor 6-E」(左)と「Virtual Switching Supervisor 720-10G」。VSS 720-10Gは世界に先駆けて公開された

 具体的に、基幹向けにはハイエンドスイッチ「Catalyst 6500」シリーズ用のスイッチングエンジンとして、冗長化機能搭載モジュール「Virtual Switching Supervisor 720-10G」(VSS 720-10G)をリリースする。VSSは、VSS 720-10Gを搭載する2台のスイッチを仮想的に1台の論理スイッチとして運用する「ネットワーククラスタ」を実現する。

 それぞれのスイッチファブリックがアクティブ状態で通信処理を行うため、従来、レイヤ2ではSTP(Spanning Tree Protocol)、レイヤ3ではHSRP(Hot Standby Router Protocol)/VRRPといった冗長化プロトコルで実現していた二重化システムに比べ、ファブリック障害時の経路切り替えによるネットワークのダウンタイムを極小にとどめることが可能だという。「HSRPでは1〜3秒程度かかるところをVSSでは200ミリ秒以下に抑えられる」(同・佐々木明夫プロダクトマネージャ)。価格は694万6000円からで、11月中にリリースされる。

画像 Catalyst 4500E

 また、ミッドレンジモデル「Catalyst 4500E」シリーズ向けには、新規ASIC(特定用途向けIC)を搭載したスイッチエンジン「Supervisor 6-E」や、30ワットの給電が可能なPoE(Power over Ethernet)ポート、10Gbpsイーサネット対応ポートに対応する3つのラインカード、3/6/7/10スロットを装備する新型シャーシをリリースする。特にSupervisor 6-Eでは、従来の4倍に当たる250Mppsのパケット処理能力を可能にすると同時に、最大8つのキューイングや新旧ラインカードの混在利用をサポートするなど、アグリゲーションスイッチとして処理性能、柔軟性を高めた。価格は400万円からで、12月にリリース予定。

拠点向けルータも拡充

 一方、同社はリモートの拠点ネットワーク向けに、1台でセキュリティや音声サービスなどに対応する統合型ルータ「ISR」の新モデル「ISR 1861」(価格未定)のリリースを2008年第1四半期に予定している。小規模オフィス用のUC(ユニファイドコミュニケーション)に特化した製品で、VPN、ファイアウォールなどブランチルータとしての基本機能に加え、ボイスメールのルーティング、呼制御の冗長化といった音声処理機能をオプションで搭載できる。

画像 ISR 1861

 また、ISR向けにNAC(Network Admission Control:ネットワーク検疫)モジュール、IPS(不正侵入防御システム)モジュール、WAAS(WANアプリケーション高速化)モジュールをここ半年間に集中的に投入、さらにインテリジェントスイッチのエントリーモデル「Catalyst 2960 LAN Lite」(価格13万5000円〜)を11月中にリリースするなど、拠点向けソリューションも強化していく。

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