F5がWANJetを「TMOS」化、Officeの反応速度が最大5割改善

F5ネットワークスはWAN高速化アプライアンス「WANJet」の新ソフトウェアで共通OS「TMOS」に対応。CIFSアプリケーションをさらに高速化すると同時に、同社製品との相互運用性を高めた。

» 2007年12月07日 12時25分 公開
[ITmedia]

 F5ネットワークスジャパンは、WAN高速化装置「WANJet」が同社の共通ソフトウェア基盤「TMOS」アーキテクチャーに対応したと発表した。新たに発表した製品は「WANJet バージョン 5.0 ソフトウェア」(以下、WANJet 5.0)およびこれを実装した「WANJet 300」で、12月5日より販売を開始した。

 今回、WANJet 5.0のリリースに合わせて販売が開始されるTMOS対応版WANJet 300は、ブランチオフィス用途として設計されており、サポート帯域64kbps〜10Mbps、最適化接続数1000、150ギガバイトハードディスクの搭載などを主な特徴とする。価格は79万円(税別)から。またWANJet 5.0については、既存ユーザーはWebからのダウンロードで無償バージョンアップが可能。

画像 米F5プロダクト・マネージャのベーカー氏

 米F5 Networksのナイジェル・ベーカー プロダクト・マーケティング・マネージャは、「WANJetをTMOSアーキテクチャーと統合することで、WANの最適化および高速化機能を拡張したのに加えて、F5のアプリケーション配信ソリューション(ADN)を支えるほかの製品群との連携が図れるようになった」とソフトウェアの強化点をアピールした。

 WANJet 5.0では、「BIG-IP LTM」や「同GTM」などに代表される同社のアプリケーションスイッチ製品群との透過的な統合を実現するとともに、アプリケーションのパフォーマンス、セキュリティ、可用性などを強化している。まず、キャッシュ管理機能(TDR:Transparent Data Reduction)が、従来のRAMキャッシュに加えて、増設可能なハードディスクに対応し、レスポンスタイムの改善やスループットの向上が図られた。TDRが適用されるディスク容量は標準で150ギガバイト、最大300ギガバイトにまで対応する。

 また、F5製品群共通のソフトウェア統合基盤となるTMOSアーキテクチャー上で動作することにより、すべての同社製品を一元管理する専用装置「Enterprise Manager」下で管理ができるようになった。アプリケーション配信インフラにおいてWANJetの設定と管理を集中して行えるため、従来よりも運用効率が改善される。

 Windowsのファイル共有サービスで利用されているプロトコルSMB(Simple Message Block)を拡張したCIFS(Common Internet File System)の最適化機能も向上しており、Word、Excel、Accessなどのマイクロソフトアプリケーションの操作(ファイルオープン/編集/保存など)において、レスポンスタイムが「25〜50%改善された」(同社)という。

 さらに、スクリプト機能「iRules」とAPI「iControl」の利用も可能になった。例えばiControlを用いて、独自のアプリケーション配信ツールの開発も可能となっている。「TMOSに対応したWANJetは、すでにWAN最適化製品の枠を超えている」(武堂貴宏シニアプロダクトマーケティングマネージャ)。WANJet 5.0は、WANJet 300だけではなく、データセンターや大規模拠点向けの既存製品「WANJet 500」でも同様にサポートされる。

 今回のリリースのもう1つのトピックは、WANJet 500が米EMCからも販売されるというもの。高性能レプリケーションソフトウェアであるEMC SRDF(Symmetrix Remote Data Facility)の導入ユーザーは、データセンター間のレプリケーショントラフィックの高速化にWANJetを利用しやすくなる。

関連キーワード

運用管理 | WAN高速化 | データセンター | EMC | Office


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ