今後のSaaS、中小企業をどう巻き込むかが論点2008年予測(1/2 ページ)

郵政公社やメガバンクなどが相次いで採用し、2007年に脚光を浴びたSaaS。これまでの動向と今後の展望はどうなるのか。IDC Japanの赤城氏に聞いた。

» 2007年12月24日 06時00分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 IDC Japanが発表した2008年の国内IT動向。2008年の動向としてSaaS(サービスとしてのソフトウェア)市場のさらなる成長が挙がった。

 「SaaSに対する注目度が高まり、実行期に移行したのが2007年だった」――同社の赤城知子ソフトウェアグループマネジャーは、今年のSaaS市場をこう振り返る。

image 赤城知子ソフトウェアグループマネジャー

SaaSはもはや無視できない存在に

 SaaSという言葉が出てきたのは2006年。その時点で企業のSaaSに対する認識は「バズワードだった」(赤城氏)という。中堅・中小のユーザー企業は過去のASPモデルの失敗を基に、同じ過ちを繰り返さないようSaaSの導入に慎重を期した。またシステムインテグレーターは、ソフトウェアのパッケージビジネスを展開するケースが多く、SaaSモデルはなじまないとされていた。

 SaaSを積極的に展開するセールスフォース・ドットコムは、2006年からパートナー提携を強化してきた。だがパートナーにSaaSモデルは浸透しなかった。「億単位のSiebelに対し、SaaSは1人当たり月額1万円程度なので1年間でも十数万円。パートナーは利益が出るパッケージを売りたい」と考えるのが当然だった。

 そういった中で、2007年4月に日本郵政公社や三菱UFJ信託銀行という大規模の機関およびメガバンクが相次いでセールスフォース・ドットコムのSaaSを採用した。この出来事が「大手ベンダーなどの(SaaSに対する)危機感を生み出した」(赤城氏)という。

 「ASPおよびSaaSは中堅・中小規模のシステムインテグレーターが地場のチャネルで実施するビジネス」――多くの企業が持っていたとされるこのような考え方を企業は改めなければならなくなった。SaaS市場の規模はまだ大きいとはいえず、「NECや富士通、日立といった大手企業では、売り上げに占めるSaaSの割合は1%ほど」(赤城氏)だ。だが小さいからといって無視はできない。これからは、パッケージだけでなくSaaSモデルを提案しないとビジネスチャンスそのものを逃してしまうとベンダーが意識するようになった、と赤城氏は分析する。

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