記者A SaaSに続くキーワードをあげるならば、「グリーンIT」「内部統制」「オフショア開発」「仮想化技術」といったところが、2007年に引き続いて2008年もニュースの焦点になるんじゃないかな。グリーンITという言葉に象徴される省電力や熱対策など環境に配慮したIT化の取り組みは、まさにIT業界としても最重要課題だ。例えばIT機器だけを取り上げても、今のままでは2025年の消費電力量が2006年の5倍に増え、国内消費全体に占める割合も5%から20%になると経済産業省では試算している。すでにIT機器メーカー各社はそれぞれに二酸化炭素(CO2)削減目標などを掲げて積極的な取り組みを始めているが、今後はデータセンターなどの対策も含め、一層の取り組み強化が求められるだろう。
記者B 内部統制についてはいよいよ2008年度から「内部統制報告制度」が上場企業に義務づけられるが、ある民間調査によると、新興の上場企業では対応が間に合わない可能性のあるところが4割近くにものぼるとか。その意味では内部統制対応のIT化についても、2008年度末まで駆け込み的な需要が続きそうだ。また、オフショア開発については単に脅威と捉えるより、これを取り込んだうえでどう経営の舵取りを行っていくかが問われる。国内のSI業界再編にも大きく影響するポイントになってくるだろうね。
記者C 仮想化技術の適用についても、ここにきてハード・ソフトメーカーの多くが本格的に取り組んでいる。製品やシステムのコストパフォーマンスの高さを追求するとともに、グリーンITとも深く関係するだけに、この分野の技術開発はますます拍車がかかるだろうね。加えてまったく毛色が変わるけど、ぜひとも販売台数2000万台を突破した任天堂の携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」のビジネス用途の可能性を、10大ニュースにも記しておきたいと思うんだけど。
デスク ほう、何か新しい動きが出てきているのかな?
記者C ニンテンドーDSはここにきて単にゲームやエンターテイメント向けだけではなく、情報端末としての利用がさまざまな形で模索され始めている。例えば、ある大学では学内情報システムを活用する端末として同機を適用し、さらに授業の出欠や小テストなどにも活用している。ニンテンドーDSはブラウザを装備できるので、インターネット端末として利用できる。とくに若い人たちにはすでに馴染みの深いものになっているので、そうした若いアイデアを活かせるんじゃないかと。かつて大ヒットしたファミコンのときも同様の論議があったけど、ニンテンドーDSは当然ながら性能がぜんぜん違う。「所詮ゲーム機では……」という固定概念を払拭すれば、いろいろな用途に使えるような気がする。
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