物あふれ時代が呼んだロングテール化――企業生き残りの選択肢オルタナブログ通信(2/2 ページ)

» 2008年01月15日 20時32分 公開
[森川拓男,ITmedia]
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流行は繰り返すもの?

 「流行もの」は、一時のモノであって、すぐに風化してしまう――そう思っている人も多いのではないだろうか。確かに、一時の流行はすぐに消え去ってしまう。流行語大賞に選ばれた芸人のネタが、数年も経つとテレビで見かけなくなってしまうのと同じだ。

 しかし、流行の中でもしっかりしたものはどうだろうか。根強く生き残るだけでなく、再び脚光を浴びて流行する場合もあるのだ。つまり、「流行は戻ってくる」のだ。

 昨年大ブレークしたルー大柴など、そのよい例だろうか。筆者からすれば、この雰囲気は懐かしいのだが、昔のブームを知らない若い世代からは新鮮にウケているのである。

 加藤恭子氏「きょこ コーリング」物事は繰り返す?をブックオフで知るは、この現象をブックオフから見つめたエントリーだ。つまり、ひと昔前のベストセラーから、これからブレイクするもののヒントがつかめるのではないかということである。確かに、そういう意味では、ブックオフなどは宝の山かもしれない。

 しかし、Webの流行は陳腐化してしまっているのではないかという危惧がないわけではない。大迫正治氏「大迫正治 REPEDANT BLOG」おめでたいジェネレータブームが示唆するウェブのネタ化にもあるあように、「脳内メーカー」などの大流行だ。確かに、大迫氏が指摘するように、この流行の源泉には、日本人の「占い好き」があるといっても過言ではないだろう。かくいう筆者も、朝のテレビの占いは見てしまうほうである。ジェネレータ群の流行は一過性のものか、それとも数年後に再びブレークするものなのか……、数年後には答えが出ているだろうか。

スパム撲滅へ

 「グリーンIT」。2008年は、この言葉が大きく取り上げられていくことは間違いない。これは要するに「地球に優しいIT」ということだ。ITは便利だが、電力を消費する。この消費電力をいかに押さえるか。省電力化など、さまざまな方策が推進されている。

 加藤和幸氏「てくてくテクネコ」グリーンITはスパムメール撲滅からでは、グリーンITを推進するためには、真っ先にすべきは「スパムメール撲滅」であると提言。そして、そのスパムを発信している国のランキングを提示し、グリーンITを言い出したアメリカがスパム発信元の4分の1を占めているのは矛盾を感じるとして、限られた資源を無駄にしないためにも、スパムに対して断固たる取り締まりと処罰を期待したいとまとめている。

 確かに、一時よりも減ったような気がしていたが、それはあくまでもプロバイダが導入するフィルタなどによるものだろうか。フィルターは実現できていても、プロバイダまでは届いているわけだ。確かにネットインフラへの負担である。

 果して、2008年はグリーンIT推進の一環としてスパム撲滅が進むのかどうか。注視したい。

ロングテール化はどこまで進むか

 今泉大輔氏「シリアルイノベーション」書籍もCDもデジタル家電もロングテール化する。企業もロングテール化する。国家もロングテール化するとすれば?というエントリーには、そのタイトルからして興味を惹いた。企業はともかくとして、国歌のロングテール化とは?

 確かに、もはや書籍やCDなどといったものの物販は、Amazonなどのネット通販の普及・拡大によって、ロングテール化が進んでいるのは実感する。かつて、書籍やCD、DVDなどといったものくらいしか扱っていなかったAmazonも、いまや家電から健康食品なども扱うようになった。筆者も、普通にCDとビール酵母などを組み合わせて購入したくらいだ。普通の店舗では置いていないようなものも気軽に購入できる魅力は、ますます進んでいる。

 そして、国家のロングテール化というのは、今泉氏いわく国単位の経済の話らしい。なかなか興味深い考察なので、ぜひ読んでほしいと思う。

 また、林雅之氏「『ビジネス2.0』の視点」松下のYouTube対応TVで進む放送・通信の融合、そして放送メディアとCGMの歩み寄りでも触れられたように、テレビでYouTubeが見られるかもしれないという報道があった。これを見てから今泉氏のエントリーを読み返して、このこともロングテール化を後押しする要因の1つになるかもしれないと感じた。

ネットと選挙

 2008年は、政治に注目の年である。衆参で与野党逆転状況が続く限り、何が起こるか分からないからだ。突発的な解散総選挙もあるかもしれない。仮に現状であるとすれば、それは「やけくそ解散」でしかないので、すぐにはないかもしれないが、一寸先は闇なので、関心を持って注視したい。

 そして、いよいよという話が実現に向けて動き出した。佐々木康彦氏「平凡でもフルーツでもなく、、、」自民、民主、公明3党がネットでの選挙活動解禁へ法律改正案を提出する方向で取り上げられた、選挙におけるネットの解禁の動きだ。前々から触れているように、実際のところでは済し崩し的になっている感はあるものの、現行法ではネットでの選挙活動は規制されている。ネット社会、IT社会だというのに、法律がついていっていないのだ。その中で、ようやくネットを利用した選挙運動解禁の方向へ動き出したというのだ。

 しかし、政治家の中にはネットというものをあまりよくわからないまま、動いている人も多いような気がする。

 小林啓倫氏「シロクマ日報」「ネット政治活動」への期待と不安では、有害サイト削除についての法案を提出する動きについて取り上げ、その問題点を起こしているので、目を通して見てほしい。いや、政治家の人こそ、こういったものを読んで勉強してほしいと思うのは、筆者だけだろうか。

 最後に、このほかに気になったエントリーを1つ紹介したい。

 川上暁生氏「ITコンシェルジュの Try ! & Error ?」これもセクハラなのか? 伝統の裸祭りポスター。すでにニュースで見た人も多いことだろう。筆者も、このニュースをTVで見た時は驚いた。今回は、JRが「NO」と判断したわけだが、結果的に全国のニュースなどで取り上げられたわけで、宣伝効果はあったようにも感じてしまうのだが、個人的にこのポスターは……。読者はどう感じただろうか。

 以上、1月3日から1月9日にかけてオルタナティブ・ブログに投稿された160余りのエントリーの中から、筆者の視点でピックアップさせていただいた。

 しかし、ここで取り上げたエントリーは、全体の5%にも満たないものだ。ほとんどのエントリーは、触れることができなかった。もちろん、その中にも、読者が興味を持つものがあるはずだ。本稿からオルタナティブ・ブログに興味を持ってもらえたら、ぜひ、オルタナティブ・ブログに投稿されたほかのエントリーにも目を通してほしい。「最新の投稿」から新着エントリーをチェックするもよし、「ブロガー・カテゴリー」から興味のあるブロガーを探すもよし。Podcast「オルタナティブ・ブロガー リレー」では、お気に入りブロガーの声が聞けるかもしれない。これらはRSS配信もされているので、積極的に利用してほしいと思う。

 ITの今を知る、新たな発見があるハズだ。

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