IT人材管理から学ぶ――「計画と組織」ドメインと10個のプロセス今日から学ぶCOBIT(6/6 ページ)

» 2008年01月22日 08時00分 公開
[谷誠之,ITmedia]
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 最後に成熟度モデルである。

  • 0(不在)

IT人材管理と組織の技術計画策定プロセスとを整合させることの重要性が認識されていない。IT人材の管理について正式に責任が割り当てられた人物またはグループが存在しない。

  • 1(初期/その場対応)

マネジメント層は、IT人材管理の必要性を認識している。IT人材管理プロセスは、非公式で、事後的である。IT人材プロセスの運用においては、IT担当者の採用と管理に焦点が当てられている。ビジネスおよび技術の急速な変化と、ソリューションの一層の多様化により、新しいスキルや能力レベルの必要性が高まっていることが、認識されつつある。

  • 2(再現性はあるが直感的)

IT担当者の採用および管理に戦術的なアプローチが用いられているが、これはプロジェクトごとの必要性に対応するものであり、優れたスキルを有するスタッフを社内外から適切なバランスで活用するという共通理解に基づいていない。新入社員に対して非公式な研修が実施されているが、その後は必要な場合のみ研修が実施されている。

  • 3(定められたプロセスがある)

IT人材の管理に関するプロセスが定義および文書化されている。IT人材管理計画が存在する。IT担当者の採用および管理について、戦略的なアプローチが用いられている。IT人材の必要性を満たす正式な研修計画が策定されている。技術スキルおよびビジネス管理スキルの発展を目指したローテーションプログラムが確立されている。

  • 4(管理され、測定可能である)

IT人材管理計画の策定および維持に関する実行責任は、計画を策定し維持するのに必要な専門知識とスキルを有する特定の個人またはグループに割り当てられている。IT人材管理計画の策定および管理プロセスには、変化に対する即応性がある。組織には、IT人材管理計画からの逸脱を特定するための標準化された指標があり、特にIT担当者の増員および離職管理に重点が置かれている。報酬および業績のレビューが制度化されつつあり、他のIT組織および業界のベストプラクティスと比較検討されている。キャリアパスの整備を考慮した、積極的なIT人材管理が行われている。

  • 5(最適化)

IT人材管理計画は変化するビジネス要件に対応するために継続的に更新されている。IT人材管理は技術計画に統合され、ITスキル開発の最適化および使用可能なITスキルの活用が確実に行われている。IT人材管理は企業の戦略方針に統合され、当該指針に対応している。報酬、業績レビュー、業界フォーラムへの参加、知識の継承、研修および指導など、IT人材管理の各要素に業界のベストプラクティスが反映されている。新しい技術標準および製品を組織に導入する際は、必ず事前研修プログラムが用意されている。

 読者のみなさんの組織は、どの成熟度モデルに入るだろう。まずは「3定められたプロセスがある」を目指そう。もちろんプロセスだけ存在しても意味がないが、定められたプロセスがなければ、企業は成長しない。

 COBITに興味を持った方は、ぜひこちらからダウンロードして読んでいただきたい。そろそろ、COBIT4.1の日本語化も終了する頃である。

"COBIT"とCOBITのロゴは、米国及びその他の国で登録された、ITガバナンス協会(ITGovernanceInstitute本部:米国イリノイ州:www.itgi.org)の商標(trademark)です。COBITの内容に関する記述は、ITガバナンス協会に著作権があります。本文中では、Copyright、TM、Rマーク等は省略しています。なお、COBIT及び関連文献はITGIJapan(日本ITガバナンス協会)のWebサイト(www.itgi.jp/download.html)を経由して入手することが出来ます。本連載の用字用語については、一部COBITにおいて一般的な表記を採用しています。

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