わたしのPC、MOドライブがないんですもの悲しき女子ヘルプデスク物語(3/3 ページ)

» 2008年01月29日 08時00分 公開
[鐙貴絵,ITmedia]
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 この機会に、別のエピソードも紹介したい。

 ある部署の上役から電話が入った。「新しいパソコンが到着した!」とうれしそうな声である。彼の用件は、今使っているPC(古いPC)のファイルや設定を新しいPCに移行したいので、手伝ってほしいというものだった。

 私はその依頼を軽い気持ちで引き受け、手元にあったUSBメモリとともに、彼のデスクへと向かった。

 2台のPC間でデータを移動する場合、一方がWindows XPであれば「ファイルと設定の転送ウィザード」を利用すればよい(Windows Vistaなら「Windows転送ツール」を使う)。この「ファイルと設定の転送ウィザード」は、マイ ドキュメントやデスクトップ上などにある「ファイル」と、Internet ExplorerやWindowsそのものなどの「設定」を、古いPCから新しいPCに移行させるツールである。さすがにOSやアプリケーションをバックアップすることはできないが、環境のお引越しならこれで十分である。

 Windows XPに標準で搭載されているし、CDにも入っている。ネットワーク経由でダウンロードすることも可能だ。さらに、Windows 95/98/Me/NT/2000などからWindows XPにファイルと設定を移行させることもできる優れものだ。使わない手はない。

 ファイルと設定の転送ウィザードで移行できる内容に関しては、マイクロソフトのWebサイトで確認してほしい。

 現場に着くと、新しく購入したPCにUSBメモリを接続。正しく認識されたら「スタート」メニューから「すべてのプログラム」をポイントし「アクセサリ」→「システムツール」→「ファイルと設定の転送ウィザード」と選択してウィザードを起動する。ここで、古いコンピュータからファイルやら設定やらを移行するための「ウィザードディスク」を作成することになる。「ウィザードディスク」の保存先をUSBメモリに設定してウィザードを終了させる。これで準備は整った。このUSBメモリを古いPCにつないでウィザードを起動し、ファイルや環境をこのUSBメモリにバックアップすれば良いのだ。

 ところが、古いPCのUSBコネクタにUSBメモリを差し込んでしばらくしたら、予想だにしていなかった画面が表示された。「新しいハードウェアの追加ウィザード」が起動したのだ。

 「えぇー!?」

 思わぬ事態に驚く私。USBメモリにドライバなんて必要だったっけ? だとしたら、ドライバのディスクはどこにある? と、頭の中ではたくさんの「?」が行進した。

 確認してみると、古いPCにインストールされているOSは、Windows 98だった。USBメモリが追加ドライバなしで利用できるようになったのはWindows 2000やWindows Meからであり、Windows 98ではドライバをインストールする必要があったのだ。そうだ、思い出した……。

 ほかに方法はないだろうか? 新しいPCにはCD-R/RWドライブがあるものの、古いPCにはCD-ROMドライブしかない。こうなったらフロッピーで、と考えたが、残念なことに、新しいPCにはフロッピードライブがなかった。

 「とにかくUSBメモリのドライバを探そうっ!それしかないっ!」と慌てる私。USBメモリメーカーのWebページを参照し、Windows 98用のドライバをダウンロードして、それから……。

 落ち着いて考えれば、ネットワークを使えば良いのだ。社内には便利なファイルサーバというものがあるのだから。しかし、人間はパニックになったら何をしでかすか分からない。そのときの私は、ほかの手段を思い付くこともなく、ドライバを探し続けていた。ファイルサーバを利用した方が断然早いと思い付いたのは、ずいぶん後のことである。

穴があったら入りたい気分。背中に冷たい汗が流れたことを、今でもしっかり覚えている。あのときの彼、そのことに気付いたかしら?


ディスクドライブ、古今東西

 会社の中に新しい周辺機器が増え、古きものは端のほうへ追いやられていく昨今。ドライブがらみの問題が多発傾向にある。これからもドライブ難民が増えていくのかしら。

 諸行無常。昔の機器は消え去り新しい機器が導入される。ハードウェアもそう、ソフトウェアもそう。そのすべてを完璧に把握しているわけではない。そこには意外な落とし穴、盲点が潜んでいるのである。

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