「Mr. SaaS」、ワシントンに行く(2/2 ページ)

» 2008年01月29日 19時56分 公開
[Roy Mark,eWEEK]
eWEEK
前のページへ 1|2       

見向きされなかったSaaS

 Salesforceは2006年末、各選挙陣営向けに「CampaignForce」ソリューションの売り込みを開始し、インターネットにアウトソースするという手法のメリットを説いた。「われわれ自身は、選挙運動でCampaignForceを利用するのは非常に簡単だと思っていた」(バートン氏)

 しかしほとんど見向きされなかったという。

 「彼らは、データをインターネット上に置くことに警戒心を抱いていた。最近になってようやく、その潜在的可能性に気付き始めた」とバートン氏は話す。Salesforceはこれまでに、ロムニー氏とポール氏の選挙陣営に加え、ジョン・ケリー上院議員およびマイケル・マッコール下院議員の選挙運動で契約を取り付けた。

 財界出身で資金力が豊富なロムニー氏にとって、アウトソーシングというのは簡単な決定だったようだ。おそらく、ITコンサルタントなどが同氏の耳元で魔法の言葉をささやいたのだろう――「リスクの高い事業では、効率とコスト節約が重要だ」と。

 インターネット上では共和党候補者の中で最高の支持を獲得し、莫大な資金を集めたものの、現実の選挙戦では最下位に甘んじているポール氏の場合、すべてパッケージされたソリューションを採用したのは必要性に迫られてのことだったに違いない。

 「見過ごされているのが選挙運動のビジネス面だ。インターネット上でのキャンペーンはこれまで、コンシューマーに主眼を置いていた」とバートン氏は説明する。

 CampaignForceはSalesforce.comのCRM(カスタマーリレーションシップ管理)ソリューションに似た仕組みで、寄付提供者を顧客として扱い、選挙スタッフを販売チームとして扱う。すべてのサービスはSalesforceのサーバ上で動作する。

 Salesforceはパートナー各社と共同で、Webブラウザダッシュボードを通じて、パーソナライズしたビューであらゆるキャンペーンデータを表示する広範なマッシュアップを提供している。

 「これは基本的に、当社のエンタープライズモデルアプリケーションにWeb APIを結合したものだ。当社の追跡システムのパワーを選挙運動で利用できるのだ」とバートン氏は説明する。

 共和党候補は結局、2004年の選挙における民主党候補と同じ運命を味わうことになるかもしれないが、面倒くさいITタスクをアウトソースしたことで、ソーシャルネットワーキングツールが選挙スタッフに必要不可欠なのと同じくらい、ITサービスモデルも選挙に欠かせない技術になりそうだ。

 選挙の結果がどうであれ、その意味では、共和党は勝利を宣言できるだろう。

前のページへ 1|2       

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ