スパムはどこから来るの? 「イマドキの日本語スパム」(3/4 ページ)

» 2008年01月31日 00時00分 公開
[小林哲雄,ITmedia]

「スパムまがいの広告メール」に価値は?

 先月の話と重なるところがあるが「利用者の立場から見ればスパム(いわゆる迷惑メール)」が筆者が持つ別のメールアドレスに今月から届いている。このメールアドレスはそのISP発足直後に取得し、こちらは特に晒していなかったのだが、似たようなアカウント名のユーザーが間違ったメールアドレスで登録しまくった挙句、スパムの温床になったという「酷いアドレス」だ。

 その件のメールの冒頭には以下のような記載がある。

 ※このメルマガは、Web上の懸賞企画、プレゼント企画等において会員募集を行い、応募されました方にのみ、お送りいたしております。

 ※購読・解除は下記の解除アドレスにて、いつでもご自身で解除出来ます。


 率直な感想を述べれば、これはニセオプトインメルマガの逃げ口上の定番である。もちろんこのアドレスで懸賞企画やプレゼント企画の応募をした事はなく、ついでに言えば懸賞企画でこのような「全然関係ないところ」からメールが届くような懸賞には応募したくもない。一応、オプトアウトの形式があり合法と言えなくもないが、「オプトアウト→生きているメールアドレスと判断される→その業者がアドレスを販売→別のスパムメールの増大」ということが一般に言われている以上、オプトアウトを行なうのがよいかと言われると難しい。

 また、このスパマーは大量メール送信ソフトを使っていた。このメールソフト名で検索してみると、サーバーサイドでよく使われるスパム「Assassin」の判定にこのメールソフト名で判断するルールを適用しているというところが見つかった。そのようなソフトで広告メールを送付しても広告効果は低いだろう。

 と、このように書いてから手元のメールフォルダをチェックし直したところ、かなり悪質な「オプトイン処理」をしているスパマーであることが分かった。

 まず「*******※【未承諾広告】」(****は伏せている)という件名のメール(内容はやはりメルマガ)を送信している。これは「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」の要件を満たしていない。法律施行規則では冒頭に「未承諾広告※」と入れることになっている(後ろでも括弧で囲んでもダメ)。また、同法律では「本文の前に送信者の氏名か名称・住所・電話番号を記載」する必要があるが、これもない。明らかに表示義務違反の内容だ。

 ただし、このメールに限り大量同報ではなく、一通ずつメールアドレスを差し込んでいる(Accessデータベースから差し込んで送信するツールを使っているようだ)。

参考:総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」の概要説明

特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成14年法律第26号)

特定電子メールの送信の適正化等に関する法律施行規則(平成14年総務省令第66号)

 悪質なオプトインと言ったのは「俺ルール」を強制的に適用させているためだ。冒頭に以下のような文章が入っている。

 ※このメルマガは、Web上の懸賞企画、プレゼント企画その他のイベント等において登録などされた方に未承諾でお送りいたしております。

 ※購読・解除は下記の解除アドレスにて、何時でもご自身で解除出来ます。

 配信停止のご連絡がない場合は、次回以降の配信について承諾したものとさせて頂きます。


 先の文章と比較してほしい。要するに後から送られてきたメールに未承諾広告※が付いていないのは「沈黙をもって承諾した」ためというわけだ。それをオプトインと言うのだろうか? 一回注文しただけで強制オプトインするオンライン通販業者やオプトインのチェックがついた状態で入札確認画面になるオークションもイヤだが、これはまだ確認画面をユーザーが明示的に見られる状態になっている。「未承諾広告※」がついているだけで、削除/読まないという人が決して少なくないのに、本文に「連絡しなければ承諾」というのは「一線を超えている」のではないだろうか?

 広告メールという形態をとっている以上、広告主がいるわけで、この手のメールは広告主に抗議するのがよいと考えている。この記事の掲載と同時に、先のメールに使われていたアフィリエイト業者に「このようなメール行為を認めるのか?」どうかメール取材する予定だ。その結果は来月掲載するつもりである。

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