スマートフォンは単にデータの受け手ではありません。それどころか、データ作成のために使われることがますます多くなっています。スマートフォンで写真を撮影し、それをブログにアップロードするといったことは、すでに一般的になっています。
録画機能を備えた最新のSymbian OS搭載のスマートフォンで撮影した映像は、非常に画質が良く、YouTubeでの公開に適しています。新たなアプリケーションの登場によって、こうしたデータのアップロードがますます簡単にできるようになりました。しかし、新しいニュースはこれだけではありません。
過去数年間でデジタルカメラはすっかり携帯電話の標準機能となりましたが、2008年以降は地図情報および位置情報提供サービスもカメラと同様にこれまで以上にスタンダードな機能となるでしょう。
人々は、紙の市街地図や観光地図やそういった類のものを持ち歩くことをしなくなり、スマートフォンに内蔵されたグラフィカルな情報豊富な地図を頼るようになるでしょう。こうした地図には、便利な機能――例えば多段階の縮尺切り替え、検索オプション、インテリジェントルート機能、現在地表示機能――が備わっています。こうした機能は、すでに「シンプルモバイルマッピング」を超え、「スマートモバイルマッピング」と言えるでしょう。
高感度GPS技術により、スマートフォンは携帯電話のネットワークを通じて得られる個々の衛星からの現在地情報を利用できるため、現在地をすばやく「確定」できます。スマートフォンの中には、Navizonなどのサービスを利用し、近場にある無線LANアクセスポイントを検索し、アクセスポイントのハードウェア識別子とオンラインデータベース上での情報を比較することで現在地を確認できるものもあります。
さらに先を見据えると、スマートフォンは現在地情報を利用すること、ユーザーに建物の情報やカメラレンズを通して映る景色などを提供できるようになるでしょう。スマートフォンは、ユーザーにとってプライベートな旅行ガイドとなるのです。2008年にはGPS機能付き携帯電話機の販売台数が10億台を超えるという米iSuppliの予測も驚きではないでしょう。
スマートフォンのカメラおよび録画機能がより高性能になったのと同様に、スマートフォンにおける音楽保存および再生機能も発達を遂げました。音楽対応スマートフォンと旧時代のネットワーク非接続型音楽デバイスのどちらを選ぶのかという選択は、消費者にとってはこれまで以上に容易なものとなりました。
米Gartnerは、2010年には消費者が携帯電話で音楽を購入する市場規模が約320億ドルに上るだろうと予測しています。この発表に刺激を受けた既存の携帯電話メーカーは、携帯音楽市場で自社の存在をユーザーに認識してもらおうと躍起になっています。これは日本では、すでに現在起こっている動きであり、デジタル音楽の売り上げがCD販売の減少するによる損失を埋め合わせるほどになっています。業界観測筋は、これをモバイル音楽ダウンロードによるものとみています。
ここでは、明らかにいくつかの共通のパターンが見られます。
これらすべてのケースにおいて、コンバージェンス(融合)型デバイスが独立型専用デバイスの売り上げを上回っていますが、それは次の理由によるものです。
こうした理由から、専用デバイスは市場のニッチにとどまることになるでしょう。これまで一度も好調な売れ行きを見せていない電子書籍に再び火をつけることを期待されているAmazonのKindleのような革新的なサービスでさえも、大衆市場を成すことにならないでしょう。なぜなら、同様の電子書籍サービスが、スマートフォン上で実現できない理由は全くなく、しかもスマートフォンには、それ以外にも無数の役立つ機能を提供できるという利点があります。
消費者は、複数の機能と全体として優れた質を提供してくれるデバイスを選ぶようになり、スマートフォンは、こうした要求に応えるために進化し続けることになるでしょう。
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