ERPは一つの製品でなく技術基盤で支えるべきあらゆるベンダーが狙うSMB ERP市場(2/2 ページ)

» 2008年02月13日 07時00分 公開
[松岡功,ITmedia]
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日本の商習慣にもきめ細かく対応へ

 そうしたMicrosoft Dynamics AXにフィットしたニーズを含め、マイクロソフトは今後の日本の中堅企業向けERP市場をどう捉え、その中で同製品をどのように根付かせていこうと考えているのか。

 「日本のERP市場は当面、全体で1割伸びるか伸びないかといったところで推移すると見ています。ただ、中堅企業向けについては大手企業向けより伸び率が高くなると思います。先ほどMicrosoft Dynamics AXの現状の導入割合は中堅と大手で半々と言いましたが、当面はその状態が続くにしても、将来的にはカスタマイズのしやすさやユーザビリティの良さが着実に浸透して、中堅企業向けの割合が増えていくと見ています」(國持氏)

 とはいえ、同氏によると、まだまだ課題も多いようだ。

 「販売を始めてまだ半年余りですので、まずはもっと認知度を上げて、Microsoft Dynamics AXの特長や従来のERP製品との違いをアピールしていかないといけないと考えています。また、先ほど中堅企業でやりたいことが明確なユーザーにはアピール度が高いと言いましたが、そうしたユーザーは大都市圏に集中していて、これから初めてERPを導入するケースが多い地方都市のユーザーにはなかなかリーチできていないのが現状です。地方のユーザーには、日本の商習慣に対応した機能がきめ細かく搭載されている国産ERPパッケージの人気が根強くあるようですが、Microsoft Dynamics AXもそうした国産製品の良いところをどんどん取り込んで行きたいと考えています」

パートナー企業との連携体制の強化に注力

 こうした課題の解消に向けても、Microsoft Dynamics AXの今後の普及促進において生命線となるのが、パートナー企業との連携によるソリューション展開である。

 「直近の取り組みとして最も注力したいのは、パートナー企業との連携体制の強化です。また、その連携によるソリューションをどんどん展開していくためにも、カスタマイズに必要なモジュールやテンプレートを充実させていかないといけないと考えています。さらにこれまでMicrosoft Dynamics AXは、あえて特定の業種に絞り込むような戦略を取ってきませんでしたが、今後はそうした対応も可能なモジュールやテンプレートを拡充するとともに、特定の業種に精通したパートナー企業と連携した形で、業種別展開も進めていくつもりです」(國持氏)

 最後に同氏は、マイクロソフトの考えるERPについて、あらためてこう強調した。

 「ERPは、経営層にとっては採算管理が最大の目的ですが、社員にとっては業務をスムーズに行うための道具という意味合いが強いといえます。従来のERPは、この異なる二つのニーズを一つの製品でカバーしようとしてきたことに無理があったのではないでしょうか。マイクロソフトでは、Microsoft Dynamics AXをERPのプラットフォームにして、ほかのMicrosoft製品などと連携させることで、両方のニーズに応えていくというのが基本スタンスです。本当に企業にとって必要なERPとは何なのか。一つの製品に集約するよりも、技術基盤(=プラットフォーム)で支えていくほうがメリットが大きいのではないか。これが、マイクロソフトがMicrosoft Dynamics AXに込めたメッセージです」(國持氏)

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