PowerPointで聴衆を苦しめるのはもうやめよう:印象的なプレゼンテーションを行うためのテクニックMagi's View(2/3 ページ)

» 2008年02月13日 02時20分 公開
[Victor-Stachura,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

聴衆は王様

 プレゼンテーションは自分と自分が知っていることについて行うものだと考えているかのように振る舞う講演者は多い。彼らはテーマについて非常に詳しく、テーマについての情報をこと細かに聴衆に与えはするものの、聴衆が実際に必要としていることは何なのかということについてあまり配慮していない。聴衆の立場に立ち、人々が知りたいと望んでいることを伝えるということをどうも忘れてしまっているようだ。プレゼンテーションは本当は聴衆のためのものだ。講演者であるあなたは常にそのことに留意しておかなければならない。テーマについて聴衆が理解する手助けになればなるほど、あなたの知名度が上がって認められることになるだろう。

 プレゼンテーションを作成する際には、聴衆が本当に関心を寄せていることは何なのかを自問して、その答えを中心としてコアメッセージを決めるようにしよう。そうすれば聴衆は最後まで積極的にあなたの話を聞いて、あなたの講演から実際に何かを学ぶことになるだろう。そうすればあなたの知名度が上がって認められることになる。

物語を作る

 21世紀になって以来、左脳を使った分析的な思考に支配されている世界において右脳的な思考をすることがますます重要になってきていることが明らかになりつつある。右脳的な創造的な思考は今や当たり前のことであり、20年前に分析的思考が重要であったのとちょうど同じように重要になっている。それにともなって、プレゼンテーションの中で物語を話すということが不可欠になっている。しかし残念ながら、それを認識している人は少ない。

 プレゼンテーションの作成を始める際にはPowerPointを閉じて、グリッドのことも忘れて、コアメッセージについて考えよう。このメッセージは「テイクアウェイ」(お持ち帰り)と呼ばれている――すなわち、聴衆が講演後持ち帰るべき、絶対的な、必須の、中心となるメッセージだ。テイクアウェイは物語の中心となる部分だが、その回りの部分は講演者であるあなたが自由に作り上げることになる。

 プレゼンテーション作成のこの段階では、紙とペンを使うことを考えてみよう。そうすることにより、PowerPointにつきものの邪魔な事柄から解放される。PowerPointはプレゼンテーションを保持しておくためには素晴らしい道具だが、アイデアを生み出す手助けをするツールでは「ない」。この段階には、色やフォントや画像や、そのほかのさまざまな機能はかかわりのないことなのだ。

メッセージを印象的にする

 情報を伝えることと、印象的なメッセージを伝えることとは、同じではない。印象的というのはすなわち、人を引きつけるということであり、聴衆が忘れないということだ。以下に例を示そう。

つまらないメッセージ:「中国には米国よりも多くの優等生がいる」

印象的なメッセージ:「中国には米国の全学生数よりも多くの優等生がいる」

 どうだろう。違いに気づいただろうか? 最初のメッセージはすでに聞いたことのあるような単なる事実だ。関心がわくようなことは何もなく、簡単に忘れてしまうだろう。2つめのメッセージは予想外であり、ややショックを受ける感じもあって、関心がわく。これらは印象的なメッセージの特徴だ――聴衆はそのようなメッセージをずっと覚えている。ちなみに、中国の優等生については本当の話だ。

 優れた講演者は、独創的で予想外な形でデータを提示する方法を探す。直接関連はないが興味深い何かと比較することを考えてみると良いだろう。例えば手持ちのデータを世界各国の人口と比較してみよう。データは何位の国に相当するだろうか? 驚くべき結果になっているかもしれない。

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