「今すぐSaaSでの提供に切り替え可能」――Autodeskのマーケティング最高責任者(1/2 ページ)

中国やインドなど新興経済市場の成長を背景に、Autodeskは2008年度第3四半期で5億4000万ドル近い売り上げを達成した。その好調を支える戦略をクリス・ブラッドショウCMOに聞いた。

» 2008年02月19日 00時45分 公開
[伏見学,ITmedia]

 米AutodeskのCMO(最高マーケティング責任者)兼上級副社長であるクリス・ブラッドショウ氏が、同社のマーケティング戦略や製品ロードマップについて語った。

クリス・ブラッドショウ氏 クリス・ブラッドショウ氏

ITmedia Autodeskのブランド戦略について、日本とそれ以外の地域で違いがありますか?

クリス ブランド戦略は、日本も海外も同じです。全世界どこでも一環性を持たせることが非常に重要だと考えています。Autodeskは「AutoCAD」や2Dソフトウェアでよく知られていますが、ほかにもデザイン分野のソリューションを多く抱えております。よりたくさんの人に知ってもらいたいというのがわたしたちの考え方です。「デザインイノベーションテクノロジー=Autodesk」というブランドイメージを形成し、製造、メディア&エンターテインメント、テレコム、ユーティリティなどすべての業界を網羅したいと考えています。

ITmedia 製品のプロモーション面で特徴的な手法はありますか?

クリス 以前は、AutoCADなど製品に特化した広告を出していました。現在は、「Autodeskはモデリングのソフトウェアのリーダーである」というメッセージを打ち出して、すべての業界を網羅するためのプロモーションに変わってきています。具体的には、雑誌やオンラインでの広告、DM、メディアを通じたPRなどを行っています。こうした活動はブランディングする上で非常に重要だと考えています。

 加えて、わたしたちは「サステナビリティ」を重視しています。「グリーンデザイン」を強調したプロモーションがわたしたちのブランド戦略の特徴だといえます。

ITmedia 売り上げについて、地域別ではEMEA(欧州、中近東、アフリカ)がトップシェアを獲得しています(下図参照)。中近東やアフリカではどの製品が人気なのでしょうか。

地域別の売り上げ比率(2008年度第3四半期) 地域別の売り上げ比率(2008年度第3四半期)

クリス 2D作図ツール「AutoCAD LT」はどのエリアに限らず非常に強い製品となります。中近東やアフリカでいえば、設計図書作成システム「Revit Architecture」、3D設計ソフトウェア「Inventor」、3DCGアプリケーション「3ds max」などが主力となります。

ITmedia 現在、アジアの売り上げ成長率がトップだと聞いています。今後売り上げ比率の割合は変わっていくのでしょうか?

クリス 中国、インド、中近東、東欧諸国、そしてラテンアメリカが台頭市場となりますが、国別では米国がナンバーワンとなります。

ITmedia アメリカが1番であるのは今後も変わりませんか?

クリス この先5年程度はトップであり続けると考えています。ただし、中国やインドのように台頭している国が追い抜く可能性は十分にあります。

ITmedia Autodeskは幅広い分野をカバーしている一方で、製品同士が競合している部分も見られます

クリス おっしゃる通り、重複する部分はあります。しかし、わたしたちにとっては問題ないと考えています。いくつかの製品では同じようなことをしているかのように思われるかもしれませんが、使い方が少しずつ異なると考えています。例えば、(3DCGソフトウェアの)「Maya」を使いたいのであればMayaを、3ds maxを使いたいのであればmaxを、製造用アプリケーションであればそれをという形で、わたしたちはユーザーに選択肢を与えたいのです。

ITmedia 日本ではMayaとmaxで3DCG分野におけるほとんどのシェアを占めています。残りのシェア、つまり「LightWave 3D」「SOFTIMAGE|XSI」「Shade」など他社製品が持つシェアも獲得していくつもりですか?

クリス もっとシェアを拡大したいと考えています。ただし、ゲーム、フィルム関連で非常にセールスが伸びているので、マーケットシェアを広げるというよりも、この分野で日本からの売上高が増加すると思います。任天堂、ソニー、マイクロソフトのゲーム機や高画像のHDテレビなどの普及が大きな要因になると思います。

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