日本HP、ポータル経由でサーバ環境を自在に提供する新サービス

日本HPはシステム開発やテスト環境向けのインフラを構築し、ユーザー企業に提供するシェアドサービスを開始すると発表した。

» 2008年02月21日 08時30分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 日本HPは2月20日、システム開発やテスト環境向けのインフラを構築し、ユーザー企業に提供するシェアドサービスを開始すると発表した。システムインテグレーターなどのユーザー企業が、開発やテストに必要となるシステム環境を専用の運用ポータル上で要求すると、日本HPが1〜2日間で環境を準備し、ユーザー企業に提供するというもの。日本HPが各開発拠点などで実際に利用しているシステム構成の自動化技術を基盤に、顧客向けにカスタマイズして提供する。

HP Shared Service Utilityサービスのイメージ

 開始するのは「HP Shared Service Utilityサービス」。ユーザーであるシステム開発者や検証担当者がポータル経由で設定環境を伝えると、サービス提供者である日本HPが環境を用意する。現状ユーザー企業は、システム構成の検討、機材の購入、設置作業、ソフトウェアのインストール、動作確認などの作業を自ら実施する必要があるため、環境構築に数週間かかるのが一般的だが、同サービスでは日本HPの自動化や仮想化技術により、1〜2日間で提供できるという。

 サーバの物理的な統合を進めることで環境が単純化するため、システム構成の把握が容易になるのも利点。運用コスト、消費電力、高熱費などの低減も期待できるとしている。

 同社の副社長執行役員、サービス事業統括の石積尚幸氏は「企業のユーザー部門はITの対価を機材やシステムの構築費用としてではなく、サービス使用料としてIT部門に支払うようになる」と話す。

「24時間365日無人化されたIT環境を活用する」という石積尚幸氏

 必要な時に、必要なだけサーバ環境を提供するいわゆるプロビジョニングの仕組みをつくる。システム構築の迅速化などユーザー企業の利便性を追求することで、仮想化や自動化技術による収益を拡大する考えだ。

 Shared Service Utilityサービスは3つのコンポーネントで構成されるシステムを、構築サービスとパックにして提供するサービス。3つのコンポーネントとは、ハードウェアやミドルウェア環境を資源として備蓄する環境「リソースプール」、HP Virtual System EnvironmentやVMWare ESXなどの「仮想化ソフトウェア」、Webベースのシステム構成要求ツール「運用ポータル」となる。

 技術面から見ると、ユーザー企業が運用ポータルから送ったシステム構成要求に応じて、仮想化されたリソースプール内のハードウェア、OS、ミドルウェア環境を組み合わせたサーバ環境を自動的に構成する。利用が済むとすぐに該当する環境を削除し、使用したリソースをプールに戻す仕組みになっている。サービスの対応OSは、HP-UX、Windows、Linuxの3種類。

 日本HPは、顧客の要件に応じて、必要なハードウェア、ソフトウェアに加えて、基本設計、システム構築サービスを含めた形で提供する。ヒアリングに基づく設計に沿って開発環境のインフラを構築し、動作検証、運用引継ぎまで実施するという。

 価格は顧客ごとの個別見積もり。今後は、SAPのアプリケーション向けやBEAのWebLogic向けのサービスも提供する予定としている。

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