「習熟度の低い企業はシステムで底上げ可能」――MSの樋口COO

4月からマイクロソフトの新社長に就任する樋口氏が、経営における「顧客」の重大性を語った。

» 2008年03月03日 20時15分 公開
[伏見学,ITmedia]

 マイクロソフトは3月3日、同日発売のCRMアプリケーション「Microsoft Dynamics CRM 4.0」日本語版の発表を兼ねたイベント「Microsoft Dynamics Customer Management Forum 2008」を開催した。代表執行役兼COOの樋口泰行氏がキーノートで登壇し、経営の観点から顧客志向の重要性を説いた。

4月1日付けで新社長に就任する樋口氏 4月1日付けで新社長に就任する樋口氏

 かつてダイエーの再建に従事した樋口氏は、その経験を踏まえ、「お客様は商売、収益の原点であり、売り上げはすべて彼らの財布から来ている」と、ビジネスで結果を出すために顧客の満足は重要な要素になると述べた。しかし、顧客ニーズに応えてむやみに満足度を上げればいいというわけではなく、リターンのあるところに投資しているか、どこまでコストを掛けられるか、地域性など文化的な要因を理解しているかなど、顧客志向には「的確な投資経営判断が必要」(樋口氏)という。

「ダイエー時代に、まったく同じサービスをしていても、地域や店舗によって顧客の反応がまるで違うという経験をした。状況に応じた最適な人材配置などが経営者には求められる」(樋口氏)

 一方で、樋口氏は「製品やビジネスモデルで絶対的優位を経験した会社は、顧客に目を向けなくなりがちである。最近起きている食品がらみの事件などは、社内倫理でのみ物事を進めるという企業文化が根付いているからでは」と苦言を呈した。

 「社員のマネジメントや健全な企業活動は重要だ。しかし、的確な投資判断をし、顧客志向を阻害する原因を解消するためには、(Dynamics CRMのような)システムを使うこともできる。組織として習熟度の低い企業は、システムで底上げが可能だ」と、樋口氏はCRMの可能性を強調した。

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