ケーブルを笑う者はケーブルに泣くサーバルーム配線事情(2/2 ページ)

» 2008年03月07日 08時00分 公開
[岡田靖,ITmedia]
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運用の繁雑さで困る

 また、当然ながらケーブルの本数が多くなれば管理も行き届きにくくなる。

 ケーブルにラベルを貼って、ExcelやVisioなどを使って管理しているというのが一般的なケーブル管理の手段だろう。しかし、これではいちいち手でデータを修正しなくてはならず、手間もかかる上にミスもあり得る。それなりの規模のシステムであれば、機器の入れ替えなども頻繁に生じる可能性が高い。その入れ替えは、しばしば想定外の部分で発生することだろう。故障する機器が事前に分かるはずもないのだから。

 もし無数の配線のどこかに起因するトラブルがあった場合、適切な管理ができていなければ、その原因追及にも時間がかかってしまう。例えば共用データセンターには、データセンター自身の設備に加え、ラックを借りている企業、およびセンターへ回線を引き込む通信事業者が、それぞれの設備を置いている。もちろん機器の責任範囲はそれぞれ容易に明確化できるが、ではその機器の間を結ぶケーブルは、どこまで明確に切り分けられているか。それぞれの責任範囲が、配線を通じて他の責任範囲に食い込み、見極めが容易でなくなっている。

床下の混沌

 例えば、センター側が管理すべき床下部分を通じて、利用者サーバに向かうイーサネットケーブルが通信事業者のスイッチに接続されているとする。このとき、ケーブルの管理責任が利用者にあるとしても、もし床下で断線などのトラブルがあったら、本当に利用者だけの責任と言えるだろうか。また、利用者自身が、その原因を容易に特定できるだろうか。

 しかも、床下スペースには支柱もあるし、いちいち開けてみなければ配線の実態も見えない。それでも配線の密度が低ければ特定の線を追いかけていくことも可能だったが、高密度サーバによって配線も高密度となってきて、それが現実的な手法とは言い難い状況を作り出している。結局、問題解決が長引いたり、明確な原因究明ができぬまま運用を続ける羽目に陥るなど、管理の行き届かないことに起因する不安を抱えながら運用を続けねばならない。

 そして、大掛かりなシステム入れ替えの際などには、古いケーブルを完全に撤去できず残してしまうケースもあるといわれる。そうなれば、余計に床下スペースは混沌としてしまう。それを避けるために、サーバルームをさらに上げ底にして、新たな配線スペースを設けるという話も聞かれる。こうなると、サーバルームの利用効率は低下するばかりだ。その床面積あたりの費用たるや、そこらの高級住宅の比ではないはずだが……。

 もはや、ケーブルのマネジメントは人手では追いついていけない時代に差し掛かっている。高密度化が進むにつれて、ケーブリングの問題が大きくなってきていることは間違いない。次回は、配線にまつわるさまざまな問題の解決手法の例を紹介しよう。

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