米大統領選で活躍する予測分析ツール――候補者らが有権者層の把握に利用(2/3 ページ)

» 2008年03月13日 09時13分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 一般的に顧客選別とは、人口動態、志向、購買パターン、購入行動といった特性が共通する消費者もしくは組織をグループ化して、企業などが顧客を包括的に理解し、ひいてはより能率的なマーケティングを行うのを助ける手法を指す。Strategic Telemetryや、米国南部諸州を対象とした政治コンサルティング企業のSPIN(Southern Political Information Network)は、これを同じ概念を政治分野に持ち込んでいる。

 マイクロターゲティングでは、各州の有権者データベースや人口調査資料といったさまざまなソースから情報を取得し、InfoUSAおよびExperianなどの企業が提供するマーケティングデータと組み合わせて、所定地域における有権者の基本像を浮かび上がらせる。Strategic Telemetryは、SPSSの「Clementine」データマイニングおよび予測分析ツールを独自開発したアルゴリズムと併用して、自陣に引き入れられる可能性の最も高い無党派層に近づく最良の方法を模索している。

 政治キャンペーンでは、有権者個人の郵便番号もしくは基礎資料を基にして、特定の地域に居住している有権者の意識をつかみ、教育、医療ケア、移民、経済などの諸問題に関して、どのようなメッセージを発信すればよいのかを検討している。

 先週オハイオ州で行われた予備選挙は、その好例だ。オバマ氏、クリントン氏の両陣営は、近年に大量の失業者を出した同州の事情を考慮して、経済問題に焦点を当てたキャンペーンを展開したのである。

 「有権者ファイルを住居別に区分し、国勢調査区のデータを当てはめた。こうした作業を通して、収入、年齢、所属業界といった無数のデータポイントを取得し、さらにそこから、ブルーカラー人口とホワイトカラー人口の数、労働者の通勤時間、農村部居住者と都市部居住者の比率、出身地などを把握している。有権者個人のバックグラウンドを知るためではない。某という人物が任意の収入を得ているかどうかではなく、一定の(調査)区における所得水準がどうなっているかを調べるのだ」(ストラスマ氏)

 Strategic Telemetryなどでは、データ入力の完了後、アルゴリズムを用いて多種多様なシナリオをモデル化しているという。各モデルはそれぞれ異なるが、調査対象としては次の3つが一般的だと、ストラスマ氏は述べている。第一に、無党派層である。これは、「政治的なメッセージを適切な有権者層に届ける」ために必要だ。第二に、自陣に取り込むべき支持者を対象とする。「有権者を振り向かせたいなら、彼らが自陣候補者に確実に投票するようしむけなければならない」と、同氏は話す。さらには、有権者が気にかけている問題を特定することが重要である。

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