INAXの製品たちを支える650台のhTc Z日本企業のためのスマートフォン導入術(2/4 ページ)

» 2008年03月17日 12時30分 公開
[岡田靖,ITmedia]

「hTc Z」がデビュー

 INAXメンテナンスは、2007年にCEの業務支援端末をhTc Zに切り替えた。PDAのサポートが終了したという課題に加えて、顧客の個人情報を強固に保護しなければならないという課題に直面したからだという。

 「旧端末でもパスワード認証や、入力を一定回数間違えるとデータを消去するようにしていたが、それだけでは十分とは言えない。データを暗号化したり、遠隔操作でデータを消去したりといった携帯電話にも搭載されている技術を導入したいと考えた」(間瀬氏)

 また、PDA自体の大きさや複数の機器を持ち歩かなければいけないという点もセキュリティ確保の上で懸念材料だったという。特にPDAは、「ポケットに入らず、腰につけるしかない」(間瀬氏)という大きさのため、作業の際に置き忘れる危険性が高いのだ。

CEが持ち歩くhTC Zとモバイルプリンター。作業依頼から報告、領収書や請求書発行までをこの2台でこなす

 スマートフォンの登場によって、FORCEのような高度な処理ができるアプリケーションやセキュリティ機能と電話機としての機能を1台に集約できるようになった。INAXメンテナンスでは、一般的な携帯電話の利用も検討したが、キャリアによってアプリケーションの開発環境などが異なる点や操作性の問題で採用しなかった。多くのCEがPDAでのタッチ入力の操作に慣れていたため、携帯電話のテンキーのような入力操作は混乱をきたす可能性があるという。

 最終的に同社は、FORCEの高度なプログラムを処理できる性能を持つとして、OSにWindows Mobile 5を搭載するhTc Zを選んだ。同社の希望する要素を持ち合わせた端末だと判断した結果だった。

開発期間は半年に

 hTc Z上の導入に合わせてFORCEをゼロベースに近い状態で開発をし直したという。Windows CEを搭載するPDAからの移行に伴うものだが、Windows Mobile関連の開発ツールやミドルウェアが充実していたために半年程度で開発を終えることができた。開発スタッフも設計が2〜3名、コーディングが6〜7名という小規模な陣営で、開発工数を相当数抑えることに成功した。

 また、業務情報のデータベース処理にアイエニウェア・ソリューションズのRDBMS「SQL Anywhere」を採用し、基幹システムと連携するための同期サーバに「Mobile Link」を採用した。「旧FORCEでは通信関連の処理に開発に手間がかかったが、今回は、Mobile Linkによって端末とホストの通信が効率的に処理でき、アプリケーションの開発に注力できた」(間瀬氏)

 システム企画部システム推進課の葛谷憲治氏は、「通信環境に応じて送受信するデータを自動的に最適化するので、データ処理のパフォーマンスが高まり、通信コストの節約にもつながっている」と話す。データベースには個人情報が含まれるが、サーバ連携時にデータベース機能を利用して暗号化をしている。

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