MSは密かに「メインフレーム復活」のシナリオに備えているのか?(2/2 ページ)

» 2008年03月17日 14時00分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK
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次の大きなチャレンジは並列コンピューティング

 Enderle Groupの主席アナリスト、ロブ・エンダール氏も、これは大変なタスクであると考えており、現時点では2つ以上のコアを活用できるツールや言語でさえ少ないのに、Intelなどが計画している大規模並列システムに対応できるものはほとんど存在しないと指摘する。

 「並列システムは従来のシステムとは大きく異なるため、これを利用するためにはそれに関連する問題を異なる角度からアプローチする訓練を最初から受けた新世代のプログラマーが求められる」とエンダール氏は語る。

 しかし両アナリストは、並列コンピューティングはMicrosoftだけでなく、PC市場に依存しているすべての企業にとって次の巨大なチャレンジであるという点で意見が一致している。その背景には、IntelとAMDがクロック速度を高めるよりも、並列処理を多用することによってプロセッサの速度改善を進めていることがある。

 「つまり、この速度改善の恩恵を受けるのはタスクを並列に実行できるアプリケーションだけであり、多くのPC用アプリケーションはその恩恵にあずかることができない」とヘルム氏は話す。

 またエンダール氏は、ワープロや表計算ソフトがPCにとってのキラーアプリケーションになり、電子メールとWebブラウザがインターネットの普及をもたらしたように、“キラーアプリケーション”がこのコンピューティングパワーに活躍の場を与えるだろうというマンディー氏の見方にも疑問を抱いている。

 「今回は、従来のような“キラーアプリケーション”が解決にはならない。インテリジェンスを示せるようなシステムがキラーアプリケーションに相当するのかもしれない」とエンダール氏は語る。

 さらにマンディー氏は、Microsoftのような巨大企業が過去の強みと伝統的なビジネス手法から脱却し、新しい技術にフォーカスするように方向転換するのは容易なことではないとしている。

 しかしエンダール氏によると、ソリューションは“スカンクワークス的な取り組み”にあるという。これは、一部のスタッフが通常業務を離れ、社内のほかの部署からも独立した立場で仕事をすることが許されるという業務形態を指す。従来の思考方法や企業方針に縛られていては、真に革新的な技術を生み出すことができないからである。

 「どんな企業でも変化に抵抗するものであり、大きな企業ほど直面する抵抗も大きい。Microsoftは非常に大きな企業だ」(同氏)

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