GPSとBluetoothで現場到着を5分短縮――大賞受賞の綜合警備保障最先端のモバイル活用(2/3 ページ)

» 2008年03月21日 07時05分 公開
[國谷武史,ITmedia]

携帯電話かスマートフォンか

 テクノロジー賞を受賞した2社のシステムは、旧来はPDAの業務端末で利用していたものを一般の携帯電話(テックエンジニアリング)もしくはスマートフォン(東邦薬品)に変更したものとなった。

 テックエンジニアリングでは、POS端末の保守を担当するカスタマーエンジニア(CE)がSPATを利用する。小売店舗などから故障対応などの通報をセンターで受けると、センターからCEの携帯電話に作業指示を通知する仕組みだ。携帯電話では作業の確認や報告、また巡回車両に用意してある部品在庫の確認、位置情報、技術情報の閲覧などができる。

 従来はPDAでこうした機能を利用していたが、PDAのサポート終了に伴って一般的な携帯電話端末のアプリケーションで利用するシステムに更新した。担当者によれば、普及率の高い一般端末を用いることでCEの端末操作をPDAよりも容易にし、対応の迅速化を図るのが狙いだったという。

操作性を重視してPDAかた携帯電話に移行したテックエンジニアリング

 なお、一般端末の環境移行によってユーザーインタフェースを中心に大規模なシステム改修をする必要が生じた。「画面をスクロールさせずに情報入力をできるようにしたため、300種類以上の画面データを用意しなければならなかったが、共通性のあるデザインにして運用負荷を減らし、CEからも高い評価を得た」(担当者)という。

 同社では新システムにより、多数店舗を運営する顧客企業の対応体制を簡素化し、24時間体制でサポートする顧客企業のケースでは対応人員を5人削減しながらサービスレベルを維持できているという。この1社への対応だけでも人件費を月間300万円削減した。

 東邦薬品では、営業担当者(MS)にスマートフォン「hTc Z」を750台配備し、2006年から運用している。MSは、端末を製品情報や在庫状況の確認や、Bluetooth機能を持つバーコードリーダーと組み合わせての納品/返品管理に利用している。さらにアドバンストメディアの音声認識技術を利用して、顧客となる医師や薬剤師からの口頭でのフィードバック情報を自動でテキストデータ化する試みもしている。

移行のしやすさや汎用性の点でスマートフォンを選んだ東邦薬品

 同社のスマートフォン導入もPDAのサポート終了がきっかけとなり、SFAシステム「Meissa」の機能拡張も含めてシステム全体を更新した。特に製品情報の利用では、端末内にマスターデータを持たせることで各種業務の効率化を図った。周辺機器との連携や音声認識の活用を含めて、MS一人当たりの1日の業務時間を平均1時間短縮できたという。スマートフォンの導入コストは、従来のPDAとデータ通信カードのセット構成に比べて45%削減できたという。

 スマートフォン導入は、こうした新機能の活用や独自のセキュリティポリシーなどを適用しやすいといった端末の汎用性の高さもポイントになった。例えば無線LAN利用時に不要なアクセスポイントへ接続させない、ゲームなど業務に不要なアプリケーションを使わせないといった端末管理を効率的にできるようにしている。

 業務アプリケーションの更新データの配布作業なども簡素化され、端末の設定変更の作業時間は従来の30分から5分となり、運用管理者の業務効率も大幅に改善した。同社の担当者は、「Windows MobileはPCアプリケーションをそのまま利用できるなど運用性に課題を残してはいるが、PDAで利用していたWindows CEの環境からの移行がしやすく、開発の手間が少なかった」としている。同社では2008年度中にも2500台規模に運用台数を拡大させる計画だという。

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