Software Freedom Law Centerから営利目的のクライアント向けの法律事務所がスピンオフTrend Insight(2/2 ページ)

» 2008年04月01日 08時00分 公開
[Bruce Byfield,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine
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契約内容

 モグレン氏によるとOpenNMSをクライアントとして引き受けることの理由には、常にSFLCの第一の関心事であるGPLの全般的な擁護ということのほかにも、ネットワーク管理ツールが「近い将来にフリーソフトウェアのシェアの拡大が見込まれる分野」だからということもあるという。

 さらに言えばOpenNMSの市場の大部分が、仮想化や組み込みアプライアンスといった、フリーソフトウェアがかなりのシェアを獲得している分野であるため、モグレン氏によると「そのような分野でサービスやコンサルティングを提供することにビジネスモデルとしての魅力を見出すコンサルタントやサービス提供業者がフリーソフトウェアコミュニティーの中には数多くいるだろうと見込んでいる」とのことだ。このような状況を考慮すると、今OpenNMSの代理としてGPLの擁護を行うことによって、将来起こり得る法的な問題を起こらずに済ませることができるかもしれないのだという。

 モグレン氏は次のように述べた。「われわれは、(SFLCの通常の形ではなく)通常の有料サービスに近い形でOpenNMSと契約するつもりだ。そしてこの件から得ることができた報酬――聞いたところによるとたいした額ではないのだが――は、SFLCが抱えるすべての訴訟やクライアントのために SFLCが自由に使えるようにするつもりだ」。

 モグレン氏によると考慮すべき点がもう一点あるという。「金額的に考えて営利目的の弁護士がOpenNMSの仕事を引き受けるとは思えない。多額の利益を生み出すことのできるケースではないので、営利目的の弁護士はOpenNMSの代理になることに魅力を感じない可能性がある」。

 またモグレン氏は、新会社のクライアントの多くはOpenNMSと同じような立場の企業だろうと予見している。「Moglen Ravicherのクライアントの数はそれほど多くはないと思う。またその大部分は、あまり大規模な企業でも潤沢な資金を持った企業でもないだろう。クライアントは、FOSSを中心として育ってきた小企業群の中から現われる可能性が高いだろう」。

 モグレン氏は次のように述べた。「われわれはFOSSを推進したいと考えていて、そのためにフリーソフトウェアを開発しているプロジェクトを支援したいと考えているが、フリーソフトウェアを開発しているプロジェクトが利益を生み出すビジネスにもなった場合に、利益を生み出しているからという理由だけでそのようなプロジェクトの手助けを断るようなことはしたくはない。Moglen Ravicherにやって来ることになるのは、そのようなクライアントが多いだろうと考えている。というのも彼らは、一般的な形で弁護士を雇うことができるほど大企業でもなければもうかっているわけでもないことが多いためだ」。

 モグレン氏によると、より大規模で経済的に成功しているクライアントについては新会社でもおそらくこれまでのSFLCのやり方と同じように、ほかのFOSS関連の法律専門家を紹介することになるだろうという。「われわれには多くの同業者仲間がいるので、彼らの縄張りを奪うようなことはまったく考えていない」とのことだ。

 またモグレン氏とラビチャー氏は、SFLCの業務分野を拡大するつもりもないようだ。モグレン氏によると、例えFOSSベースの企業に対してであっても「われわれが一般ビジネスについての弁護士になることはないだろう。Moglen Ravicherにやって来る何らかの組織は、IPOの準備や法人化の問題に対処するための手助けを必要としてMoglen Ravicherにやって来るのではない。そのような内容の仕事についてはすべて、一般ビジネスの弁護士を紹介することになるだろう」。

 まとめるとモグレン氏とラビチャー氏は、SFLCで対象外だった仕事を取り扱うようになったということであり、目的や方向性に何らかの変化があったわけではない――また基本的にはSFLCの資金集めが主な目的でもない。モグレン氏によると「Moglen Ravicherは、営利目的のクライアントという稀なケースのための、SFLCの別名にすぎない」とのことだ。

Bruce Byfieldは、Linux.comとIT Manager's Journalに定期的に寄稿するコンピュータジャーナリスト。


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