機会損失をなくして過去最高益に人材紹介会社の顧客情報管理(2/2 ページ)

» 2008年04月01日 10時03分 公開
[ITmedia]
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事業部の壁を越えたクロスセルの実現も視野に

 ASP型業務システムの導入時は定着に失敗しているだけに、今回の導入では気を遣うところだ。しかし、「現場がメリットを実感すると、無理に使わせようとなくても自然に定着が進んだ」と上島氏。

 現場で評判が良かったのは、メール配信の効率化だ。従来は案件の条件に合う登録者を、コンサルタントが登録者リストから手作業で探し出してメールを送っていたが、導入後は「Salesforce」上で条件指定して一斉配信。コンサルタントの負担が軽減され、より生産性が高い業務に集中できるようになった。またコンサルタント間の情報共有が進んだことで、機会損失が減少するとともに、登録者の転職決定率が5〜6%向上。業界最高水準の決定率をマークするに至っている。これらの効果が、過去最高の売上・営業利益につながったことは間違いないだろう。

ジェイック 人材紹介事業部 マネージャー 古庄拓 氏

 「現在は、顧客情報だけでなく、売上や受注、経費や日報など、さまざまな情報を『Salesforce』で管理しています。事業部と管理部門で二重管理になっている部分もあるので、いずれは1つのシステムに統合していくことも検討していますいます。また、『Salesforce』における「レポート機能」を活用することで、顧客管理のみならず、売上などと紐づける事によって各チーム及各コンサルタント単位での『強み』『弱み』などの課題も発見できます」

 また、「Salesforce」は人材紹介事業部の他にカレッジ事業部にも導入されているが、さらに横展開することも視野に入れている。事業部間で顧客情報を共有できれば、事業部の壁を超えてクロスセルすることも可能になるだろう。

情報共有システムを使った業務管理の概要

導入効果を聞く――SaaS型で、臨機応変に必要なサービスを活用

ITmedia 選定の理由は?

上島 人材紹介業界向け業務システムも検討しましたが、ベンダーから競合に業務ノウハウが漏れるリスクを考えて、業界に特化していないシステムを選ぶことにしました。ただ、クライアント/サーバ型はコストの負担が大きく、ASP型は柔軟性が低くて作り込みが難しい。そこで浮上したのがSaaS型サービスである「Salesforce」でした。

ITmedia 導入時の苦労は?

上島 コストをかけたくなかったので、自分で構築をしました。てこずった部分もありましたが、セールスフォース・ドットコムさんのエンジニアにアドバイスをもらいながらやってみたら、3日間でひとまず形になった。その後もいろいろとカスタマイズしていますが、問題ありません。

ITmedia ユーザーの反応は?

古庄 最初は反応が良くなかったかもしれません。しかし、現場のマネジャーが使うようになると、一気に定着が進みました。私もいまでは積極的に活用しています。

ITmedia SaaS型のメリットは?

古庄 従来使っていたメール配信ソフトにかえて、今年1月から、メール配信アプリケーションの「Autobahn fof AppExchange」を導入しました。これまでは顧客情報を一度CSVに落とす必要がありましたが、今回の導入で「Salesforce」上からメールを直接配信できるように。今後も状況を見て、必要なサービスがあれば活用していきたいですね。

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