協力企業との情報共有進めリードタイムを大幅削減製缶企業の生産管理システム(1/2 ページ)

製缶業を主要業務とする仙崎鐵工所は長年IT導入には苦労を重ねてきたが、ITコーディネータの協力を得て、「見える化」につながるシステム構築に成功した。

» 2008年04月01日 15時22分 公開
[ITmedia]

導入前の課題

生産現場の業務の見える化を図り、効率的なプロセス管理を目指したが、IT化の段階で行き詰まっていた。


導入後の効果

ITコーディネータの協力を得て、業務の見直しを図り、協力企業との情報共有を含めた生産管理システムを構築。生産リードタイムを10%削減するなどの効果を得た。


従来の管理手法が立ち行かなくなった

 神奈川県川崎市の仙崎鐵工所は、1934年創業で従業員数は約20名。業種としては製缶業の分類に入る。型鋼や鋼板を切断して筐体を作ることを製缶という。高い精度が要求され、計測機器から原子力関係、通信衛星機器などの筐体や部品を製造している。同社は川崎市から毎年数名しか選出されない「かわさきマイスター」を輩出するなど技術力には定評のある企業だ。

 通常このような規模だと現場のベテラン社員が業務を動かす。しかし、製造リードタイムが短縮されるにつれ、従来の管理方法では立ち行かないケースが多くなった。同社でも、誰でも調べれば仕掛かり仕事の現状が把握できる仕組み作りが急務になってきた。

専門用語で説明されて構築してみたものの

 同社のIT化は80年代に行ったオフコン導入が最初である。生産現場の状況を可視化したいという願望はこのころから持っていたが、当時のシステムではそれは期待できるものではなかった。その後、得意先からWeb-EDIシステムの導入の要請を受けてそれを機会にシステムを変え、承認作業の電子化、原価管理、仕掛かり情報の共有化のできるシステムを作ろうとしたがうまくいかなかった。

 代表取締役社長の沼りえ氏は次のように語る。

仙崎鐵工所 代表取締役社長 沼 りえ氏

 「ベンダーの担当者の言っていることの半分も分からない。こちらがいくら仕事の内容を説明しても、ITの専門用語で答えてくる」。その後、川崎市産業振興財団でIT活用型経営革新モデル事業のことを知り、ITコーディネータ(ITC)の齋藤順一氏を紹介された。齋藤氏は「以前のシステムは、仙崎鐵工所のような協力会社と何度も製品のやり取りをしながら完成品を作っていく会社には向いていなかった。複数のメンバーでチームを組み要件定義書を作っていきました」と語る。同社のモデルは見事2005年のIT活用型経営革新モデル事業に採択された。

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