2007年の米ハイテク業界は9万1400人の雇用増

最新のリポートによると、米ハイテク業界の雇用増加数は2006年には及ばなかったものの、多くの技術分野の失業率は非常に低い水準にとどまっている。

» 2008年04月07日 17時45分 公開
[Deb Perelman,eWEEK]
eWEEK

 ハイテク業界は消費者支出の減少見通しに神経をとがらせているが、最近の雇用統計は業界の緊張を多少和らげる数字を示している。

 ハイテク業界団体のAeAが4月2日に公表したリポートによると、米国のハイテク業界では3年連続で雇用が拡大し、2007年の雇用増は9万1400人となった。これは2006年の13万9000人を下回るが、2005年の8万7400人と同水準の数字である。

 ワシントンに本部を置くAeAのアナリスト、マシュー・カズマイアーチャック氏は、「総合的な結論として、2007年にはハイテク業界の雇用が伸び、雇用者数は10万人近く増加した。増加数そのものは2006年をやや下回ったが、優秀な人材に対する雇用需給は依然として極度に逼迫している。企業各社は人材を確保するのに苦労しており、それが成長鈍化の要因になっている可能性もある」と述べている。

 最新の州別雇用データは2006年のもので、同年では4つの州を除くすべての“サイバーステート”(50州およびワシントンD.C.とプエルトリコ)で雇用が増加した。増加数が多かったのは、テキサス州(+1万3700人)、バージニア州(+9800人)、ニュージャージー州(+8500人)、ニューメキシコ州(+6700人)。ハイテク職従事者の割合が最も高かったのがバージニア州で、民間企業の就業者1000人当たり91人だった。

 2006年にハイテク分野の雇用が減少したのが、デラウェア州(−900人)、コロラド州(−900人)、プエルトリコ(−1100人)、ミシガン州(−1500人)で、コロラド州は2年連続の減少となった。

 「ミシガン州は自動車業界とエンジニアリング業界の景気悪化の影響を受けた」とカズマイアーチャック氏は指摘する。

 「コロラド州は通信業界の再編に苦労し、同州から撤退したコンピュータメーカーもある。デラウェア州では、コンピュータシステムデザインなどの伝統的な成長分野や、研究開発機関などで雇用が減少した。プエルトリコでは雇用状況がやや持ち直したが、ハイテク従事者の総数が非常に少ないことも関連している。プエルトリコの2007年の雇用減少は300人にとどまったが、総数が1万8000人なので、この数字は決して小さくない」

 ソフトウェアサービス分野は2年連続で最も大幅な雇用増加を示した。同分野は2007年に8万2600人の雇用増となり、4年連続で雇用が拡大した。その次に雇用の増加が大きかったのはエンジニアリング/技術サービス分野で、2007年に4万5800人の雇用増となった。

 一方、ハイテク製造業界では雇用減少が続いており、2007年に2万9800人分の雇用が減少した。2007年には製造業界の9分野のうち7分野で雇用が減少し、雇用増となったのは防衛関連電子機器および医療電子機器の分野だけだった。

 2007年には通信サービス分野でも雇用が減少したが、2006年の1万6900人減と比べると7200人減とそのペースは鈍化した。

 AeAの雇用統計は、ハイテク業界の雇用市場に関してかなり明るい状況を示している。業界専門家の見方も同様で、景気後退の懸念が叫ばれる中にあっても、雇用縮小の状況はまだ見られないとしている。

 フィラデルフィアに本社を置く人材派遣/アウトソーシングサービスのプロバイダー、Yoh Servicesで戦略とマーケティングを担当するジム・ランザロット副社長はeWEEKの取材で、「当社では四半期ごとに賃金調査を実施しているが、昨年10月に賃金水準がピークに達した。年率ではまだ増加傾向にあるが、10月の時点で増加率が低くなった。一部のIT分野とエンジニアリング分野の失業率は、相変わらず2〜3%と非常に低い水準だが、もう完全雇用の時代ではない」と語っている。

 「現在起きているのは個別分野での景気後退だ。金融サービスや住宅関連の分野は厳しい状況だが、それ以外のIT分野にはまだ影響が及んでいない」とランザロット氏は付け加える。

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