「チックタック戦略」でモバイル分野にフォーカスするインテル

インテルは、クライアント向け製品に関する説明会で、ノートPCやモバイルインターネット端末における取り組みを紹介した。

» 2008年04月09日 22時32分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 インテルは4月9日、クライアント製品技術に関する記者説明会を都内で開催した。ノートPCやモバイルインターネット端末(MID)を中心としたプラットフォーム製品群への取り組みを紹介した。

吉田氏

 冒頭、吉田和正共同社長は4月2〜3日に中国・上海で開催した「Intel Developer Forum(IDF) 2008」の開催状況について報告。今年はのべ5500人の出席と10の基調講演・技術講演、合計100時間に及ぶ技術セッションが行われたと述べた。開催中には国内でも省電力・高性能が特徴の新プラットフォーム「Atom」を発表した。

 吉田氏は、「モバイル市場は世界的に拡大している。2008年はモバイルインターネットが本格的な幕開けを迎えるだろう」と述べた。

 米Intel主席副社長兼モビリティー事業本部長のダディー・パルマッター氏は、IDFでの発表を基にAtomや次世代マイクロアーキテクチャ「Nehalem」など、同社のモバイル向けプラットフォームについて説明した。

パルマッター氏

 同社では2004年以降、年ごとにプラットフォームの発展を推進する「チックタック戦略」を展開しており、パルマッター氏は2006年のCore 2、2007年のAtomと順調に戦略を展開していると強調。「サーバからモバイルプラットフォームに及ぶ広範な製品領域をカバーし、最先端技術の迅速な展開がわれわれの強みの原動力となっている」(同氏)と述べた。

 2008年第4四半期に量産化を予定するNehalemは、2または4、8コア仕様で、「QuickPathインターコネクト」によるメモリの効率的利用、きめ細かい電力管理、スレッド制御技術SSE 4.2などの技術を活用し、効率的な処理による低消費電力化を特徴とする。

次世代マイクロアーキテクチャの「Nehalem」

 ノートPC向けプラットフォームではこれまで、2006年のCore Duo(コードネーム:Napa)、2007年のCentrino Duo(Santa Rosa)を投入し、2008年は6月に「Centrino 2」(Montevina)をリリースする。同社ではNehalemを採用した「Calpella」を2009年に投入する計画であるという。

 6月にリリースされるCentrino 2では、パフォーマンスの向上や長時間のバッテリ駆動、スリムデザイン、ワイヤレス機能、セキュリティ&仮想化への対応強化を特徴に掲げる。「2009年には出荷されるPCの半数がノートPCになる。ユーザーニーズも多様化するが、Centrino 2はメーカーに自由度の高い設計・開発環境を提供することになる」(パルマッター氏)。

Core 2 Duoによる高性能・省電力性に、WiMAXやIEEE802.11nのワイヤレスブロードバンドをサポートし、モバイルデバイスの可能性を最大化する

 Centrino 2は、WiFi(IEEE802.11nを含む)とWiMAXのミニカードおよびハーフミニカードと、Core 2 Duoプロセッサを主な構成要素とし、多様なデザイン性とハイパフォーマンスを提供。「グラフィックス処理はSanta Rosaの1.7〜2倍となり、HDTVなどの高品質な映像をサポートする」(同氏)という。

 パルマッター氏は、モバイルデバイス市場には主に3つのカテゴリーが存在すると述べ、各カテゴリーに応じたプラットフォームを展開すると話した。MIDではCentrino Atom、画面サイズが10型以上の「Netbook PC」と同社が呼ぶ領域ではAtom、画面サイズが12型以上のノートPC領域ではCentrino 2を展開する。特にAtomは、PCに限らず組み込み製品や情報家電など、「広範な製品領域に対応したソリューションになる」と述べた。

インテルが定めるモバイルデバイスの各カテゴリー

 MIDを展開するハンドヘルド機器市場では、ARMアーキテクチャを採用するスマートフォンなどが台頭しているが、パルマッター氏はCentrino Atomが優れた信頼性をデバイスに提供すると話した。同社が実施した独自試験では、インテルアーキテクチャによるLinux搭載デバイスでのインターネット利用時のエラー発生件数が市販のハンドヘルドデバイスよりも格段に少ないことが判明したという。

任意に100以上のWebサイトを表示し、「画像が表示されない」などのエラー発生件数を調べた

 「例えば、PCでは最新のFlash技術もスマートフォンに実装されるまでには1年以上を要する。インテルアーキテクチャは最先端のインターネット体験をすぐにモバイルユーザーへ提供できる」(パルマッター氏)

 また、パルマッター氏はユーザーがMIDを最大限に活用するにはワイヤレスブロードバンドの常時接続環境が求められるとし、2008年に米国や韓国で本格的な商用サービスが始まるモバイルWiMAXの普及に期待すると述べた。国内ではUQコミュニケーションズが2009年のサービスインを計画している。

 パルマッター氏は、「MIDはWiMAXと足並みをそろえて普及していく必要がある。ノートPCも同じであり、世界各国の通信事業者のネットワーク拡充に期待していきたい」と締めくくった。

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