ITとは「覚える」のではなく「学ぶ」もの今日から学ぶCOBIT(1/6 ページ)

今回は、「サービス提供とサポート」ドメインの具体的な例を説明しよう。

» 2008年04月10日 08時00分 公開
[谷誠之,ITmedia]

「サービス提供とサポート」ドメインについて

 サービス提供とサポート(DS)ドメインの主要プロセスは13個もあるため、前回はその13個のプロセスの概要の説明で終わってしまった。前回記事を未読の方は、まずこちらを参照してほしい。

 もちろん、この中のどのプロセスが最も重要かという点に関しては、企業や組織によって異なるだろう。今回はこの中から2つのプロセス、「DS2 サードパーティのサービスの管理(以降、DS2と表記)」と「DS7 利用者の教育と研修(以降、DS7と表記)」を例として挙げる。これらは、ないがしろにしてしまったり、コスト削減の対象になりやすい項目ではないだろうか。

DS2 サードパーティのサービスの管理

 いつもの通り、3つの図からである(図1)。これを見てもお分かりのとおり、DS2はすべてのビジネス要件と密接に関係する。ITの日々の運用は、サードパーティをいかに適切にコントロールするか、というところにかかっている。ITガバナンスに関しても、そのほとんどに関与している。筆者としては「戦略との整合」にも副次的に関係していると思えてならないの。なぜなら、ITサービスをどの程度アウトソーシングするかということは、その組織の戦略とは無関係だとは思えないからである。それほど、ITサービスにとってサードパーティの関与は大変重要である。

図1:プロセスとビジネス要件、ITガバナンスの重点領域、IT資源との関係

 次に、コントロール目標をウォーターフォール式で示す。

A: サードパーティのサービスの管理のコントロール目標は、便益、費用、およびリスクに関する透明性を維持し、サードパーティによる要件を満たすサービス提供を実現することを、ビジネス要件とし、

B: 重点をおくべきコントロールは、適格なサービスプロバイダ(サードパーティ)とリレーションシップおよび相互責任を確立し、合意内容との適合性を検証し保証するためにサービス提供状況をモニタリングすることである。

C: 実現するための手段は、次の3項目である。

  • サービスプロバイダからのサービスの特定と分類
  • サービスプロバイダにかかわるリスクの特定と低減
  • サービスプロバイダの成果のモニタリングと測定

D: その成果の測定指標は、次の3項目である。

  • 契約されたサービスに関するユーザーからの苦情件数
  • 明確に定義された要件とサービスレベルを満たしている主要サービスプロバイダの割
  • モニタリング対象となっている主要サービスプロバイダの割合

 サードパーティに完全に依存するのではないことに注意していただきたい。つまりサービスを依頼する側の責任範囲も定義しておく必要がある、ということである。また、サードパーティにも得意、不得意がある。すべてのITサービスをひとつのサードパーティに丸投げするのは望ましくない。

       1|2|3|4|5|6 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ