中堅中小企業の経営基盤改革術

SMB市場向けSaaSに死角はあるか連載:SaaSで一歩抜け出す中小企業(2/5 ページ)

» 2008年04月10日 09時36分 公開
[ノークリサーチ,ITmedia]

ユーザー企業への影響、所有から利用へ

 現在、企業におけるIT環境は、かつての「集中から分散へ」という流れから、再び「集中へ」という揺り戻し現象が起きつつあるが、今ソフトウェアの利用環境にも変化が起ころうとしている。それは「ソフトウェア自前主義」からの脱却だ。

 自社のコンピュータに専用のソフトウェア利用環境を整え、適正に稼働するよう運用管理するという一連の流れで生じる「負荷」を第三者に委託し、経営資源をコアビジネスに集中させようという考えだ。そのテクノロジーとしてSaaSが担う役割が大きいと見なされている。

 従来自前のソフトウェアを「所有」することでユーザー企業はライセンス費、システムインテグレーション(SI)費、バージョンアップ費などの高額なコストとともに、自社SEが運用・保守業務を負担してきた。ソフトウェアを「所有」することによるさまざまな弊害、問題に対して、第三者が管理するソフトウェアを「利用」するという概念が生まれることになった。

 そうした新たなソフトウェア提供形態であるSaaSを通して、ユーザー企業は低価格・短期間でユーザービリティの高いソフトウェアを利用できるようになる。

 SaaSでは、パッケージソフトに比べ短期間でシステムを稼働できる。また、途中キャンセルができる(最低契約期間、解約手数料発生の場合あり)。バージョンアップやセキュリティ対応に伴う運用・保守業務の一切をベンダーが請け負うため、そのためのSEが特別必要ではなくなる。一方ソフトウェアのバージョンアップはベンダーが独自に行うため、コンプライアンス対応やビジネス環境の変化に迅速に対応できる。

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