最後に行ったbonnie++ベンチマークは、NFS共有したRAID5上にあるファイルシステムに対するテストである。マザーボードNICでのベンチマークの所用時間は14分40秒だったのに対し、Intel NICでのテスト完了には11分半強を要した。ここで注目すべきはどちらのネットワーク構成でも、連続的なアウトプット/インプット処理は両者がほぼ同等の結果を示している点である。おそらくIntel NICではレイテンシが短縮されることが、1秒当たりのシーク、作成、リード、削除の処理量の向上に寄与しているのだろう。つまりレイテンシの違いが、15分の実行時間から3分近くの短縮という目に見えるトータルパフォーマンスの差異となって現れているのである。
Version 1.03 ------Sequential Output------ --Sequential Input- --Random-
-Per Chr- --Block-- -Rewrite- -Per Chr- --Block-- --Seeks--
Machine Size K/sec %CP K/sec %CP K/sec %CP K/sec %CP K/sec %CP /sec %CP
alkid 4G 42652 80 41138 5 25811 7 58229 95 102953 10 1479 6
------Sequential Create------ --------Random Create--------
-Create-- --Read--- -Delete-- -Create-- --Read--- -Delete--
files /sec %CP /sec %CP /sec %CP /sec %CP /sec %CP /sec %CP
16 190 1 1021 2 175 0 196 1 1051 1 176 0
Bonnie++ on a filesystem on RAID5 over NFS using motherboard NICs.
Version 1.03 ------Sequential Output------ --Sequential Input- --Random-
-Per Chr- --Block-- -Rewrite- -Per Chr- --Block-- --Seeks--
Machine Size K/sec %CP K/sec %CP K/sec %CP K/sec %CP K/sec %CP /sec %CP
alkid 4G 44477 80 40783 5 25534 7 58719 96 97800 9 1708 2
------Sequential Create------ --------Random Create--------
-Create-- --Read--- -Delete-- -Create-- --Read--- -Delete--
files /sec %CP /sec %CP /sec %CP /sec %CP /sec %CP /sec %CP
16 359 2 6139 11 303 1 358 1 6634 12 296 0
Bonnie++ on a filesystem on RAID5 over NFS using two Intel Pro/1000 PT NICs
1ないし2枚のギガビットNICが標準搭載されたマザーボードを現在使用しているユーザーであれば、マシン1台当たり50ドル前後の出費を伴うギガビットNICの別途追加を正当化する理由を見いだすのは難しいだろう。実際デュアルコアないしクアドコアのCPU搭載マシンを使っていれば、過大なネットワーク負荷の掛かる処理時における若干のプロセッサ時間の損失もそれほど気にならないはずだ。ただしNFS共有した高速RAID型のファイルサーバに置かれたファイルシステムへのアクセスを頻繁に行うヘビーユーザーであれば、こうしたNICの追加は有意義な投資と見なせるかもしれない。ここでのベンチマーク結果が示しているように、連続したバルク転送単体での帯域幅向上は期待できないものの、ファイルの作成、削除、シークといった一部の処理については目に見えるレベルでの高速化がもたらされ、おそらくこれにはIntel NICを使用した場合のレイテンシ短縮が寄与しているものと思われる。
Ben Martinは10年以上にわたってファイルシステムに取り組んでおり、博士課程の取得後、現在はlibferris、ファイルシステム、検索ソリューションを中心としたコンサルティング業に従事している。
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