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» 2008年04月18日 05時49分 UPDATE

BI特集:動きの良い「ルールの翻訳機」を――見える化実現目指すユーザー企業 (1/2)

いくら膨大な蓄積データがあるからといって、それだけで業務の見える化は実現しない。ユーザー企業自身がデータの成り立ちを理解し、ルールを解析するという作業が不可欠だ。

[小松崎毅,ITmedia]

「データ管理の統一化」という意識

 社内外に及ぶネットワークの普及と、オンラインショップなどをはじめとするWebアプリケーションや各種管理ツールの導入と発達により、社内に蓄積されたデータのタイプはいくつかのコードパターンに収束されるようになってきた。ここにデータを扱う側の「データ管理の統一化」という意識が加わることで、企業内の情報はより一元管理に近づくことになった。

 これまでは、1つの製品、部品などに、複数の種類の名称、コード番号が各部署の都合でさまざまな形で付けられ、整理されていることが非常に多かった。しかしコード番号を統一しろといっても、なかなかできない事情もある。

 簡単に言ってしまうと、ある1つの部品があって、それ単体では「A」という名称が付いているとしよう。しかし、その部品が他の部品と接続加工されると、「A-1」といった別の名称になる。もしそういう名称の付け替えをしないと、データ上、現在単体のまま残っているのか、他の部品と接続されて、次の加工段階に進んでいるのか分からなくなってしまう。さらに、部品Aが製造のどの段階で不良品だと判明したかを区別して整理しようなどと考えるとさらに複雑になる。完成品となったときに不良が判明した場合と、その前段階での検品で判明した場合とを区別するには、別の符号などを入れるしかない。

 まさに1つのモノに対して、時間経過によって名称やコードを付け替えるというようなこだわり方が、製造業分野での日本企業の強さを表す1例として上げられる。しかし、こうした業務の流れを「見える化」させようとすると大変なことになるケースが多かった。実際のコード付けは「A」から「A-1」などという単純なものでない場合が多いからだ。全工程を俯瞰できる「見える化」を進めるには、複雑なコード番号や名称のつけ方のすべてのルールを集約する必要がある。

顧客の生の声をマイニングする

 アビーム コンサルティングのプリンシパルIES事業部の中世古操氏は、「最近は、こうしたデータの集約も比較的やりやすくなってきた」と語る。

 「業務の流れを追って行って、コード番号などの付け方のルールを理解すれば、どんな名称が付いていても『翻訳機』の役割を果たすツールやプログラムに入れて、データを整理することができます。しかし、ルールの数が多く複雑だと、翻訳をスムーズにできるようにするためには膨大な時間がかかります。最近は、ユーザー企業もそのことを理解していて、整理しやすい業務フローを作っていることが多いのです。データそのものもただ貯め込んでいるというのではなく、後から翻訳しやすいようにしているわけです」

nakaseko.jpg アビーム コンサルティングの中世古操氏

 こうした努力が、BIを業務フローに落とし込んで、より現場が活用しやすい仕組みづくりが可能になってきたわけだ。

 コールセンターなどで顧客の生の声を集積したデータから行動パターンを分析してモデル化する場合がある。このときは、テキストマイニングツールを使って、生の声から吐き出されるさまざまなフレーズを種別していき、キーワードとして整理するという手法が使われることがある。

 よく「企業には多くの貴重なデータが眠っている」と言われる。確かにその通りなのだが、マイニングもされていない、生の声を書き写しただけのテキストデータがどれほど膨大にあったとしても、それだけでは、顧客の行動パターンなどを分析することはできない。高い価値を生み出す可能性のあるデータをうまく整理しておけば、比較的容易に業務フローに組み込むことができ、しかも分析しやすい。中世古氏によれば、最近のユーザー企業は、そのことを見越して、分析の前段階のデータ整理を行っているわけだ。

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