市場シェア奪還に向かうIntel

Opteronの不具合などでAMDが苦戦している間に、Intelは弱点を克服し、奪われたシェアを取り戻す態勢だ。

» 2008年04月18日 16時28分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 米Intelは2008年第1四半期に、長らく失われていた市場シェアの一部を取り戻す態勢を整えた。同社のサーバ向けプロセッサの効果と、AMDが今もクアッドコアOpteronで地歩を取り戻せずにいるためだ。

 同社が4月15日に発表した第1四半期決算は全体的にはアナリスト予測に沿うものだったが、米国経済への懸念にもかかわらず、同社のサーバおよびノートPC向けプロセッサへの需要が依然堅調であることを示した。

 ポール・オッテリーニCEOはアナリスト向け電話会見で、AMDと比べた具体的な市場シェアを語ることは控えたものの、同社製プロセッサ、特に45ナノメートル(nm)プロセッサとマルチプロセッサシステム向け「Caneland」に関して「朗報」があったと述べた。

 また同氏は、GoogleやAmazon.comなど、大規模サーバファームを構築していたり、クラウドコンピューティングに進出している企業へのプロセッサ販売からも恩恵を受けたと語った。

 具体的な市場シェアに関する報告書はまだ出ていない――IDCの調査では、2007年第4四半期は、出荷数ベースでIntelが76%、AMDが23%のシェアを有していた――が、アナリストらは、Intelには幾つかのプラス要因があると確信している。最も明確な要素は、主なライバルであるAMDが2006年のATI Technologies買収後、業績面で苦戦続きだということだ(Intelの業績は依然上向きだ)。

 AMDはそうした重荷を背負っていた上に、技術的な問題が原因でクアッドコアOpteronを予定通り2007年後半に投入できなかった。その結果、AMDが17日に発表する第1四半期決算は不調とみられ、一部アナリストは2億6300万ドル(1株42セント)の赤字を予測している(注:本稿は16日に書かれた)。

 OpteronがIntelのXeonと接戦を演じるとみられていた分野の1つが、マルチプロセッササーバだ。これは、オッテリーニ氏がアナリスト向け会見で強調した分野だった。

 「AMDはこの分野に対応しているが、同社はATIを買収したときに多くのものを消化しなければならなかった。同社はそれを認識し、回復しつつあると思う」とGartnerのアナリスト、レスリー・フィエリング氏は語る。「これから年末にかけての展開は興味深いが、現時点では、製品ラインアップはIntelが有利だ」

 AMDは何年もの間、Opteronで使われているプロセッサ技術はIntelよりも優れているとの主張をうまく通してきた。それが企業のデータセンター内でのシェア獲得を後押しし、さらに同社の製品ライン全体に恩恵をもたらした。

 これに対抗して、Intelは初めこの市場向けにクアッドコアXeonを推進し、その後プロセッサ性能を高める45nm製造プロセスを導入した。2008年中には「Nehalem」アーキテクチャの投入で初めて統合型のメモリコントローラを提供し、Opteronの技術的なアドバンテージを1つ減らす。

 TechKnowledge Strategiesの創設者マイク・フェイバス氏は、サーバ市場は回復が遅いが、Intelの新しい設計や製品の成果が出始めているようだと指摘する。一方AMDは、ようやくクアッドコアOpteronを市場に投入しているところだ。

 「サーバ市場ではテクノロジーが勝つ」とフェイバス氏。「AMDはそうやってサーバ市場に食い込んだ――(初代の)Opteronが登場したときは、そのアドバンテージは非常に大きく、あまりに長い間Intelに固執していた顧客は痛手を受けた。そのような日々は終わった。(サーバ市場においては)意思決定を性能が左右するということを痛感して、Intelは弱点に対処した」

 AMDがシェアを取り戻し、OpteronはまだIntelが投入する製品と張り合えるということを示すにはある程度の時間がかかるだろうとフェイバス氏は言う。AMDは第1四半期の業績問題を切り抜けた後、年内に45nmプロセスに切り替える際に、新技術を披露する機会があるだろう。

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