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» 2008年04月18日 18時17分 UPDATE

米IBM、Lotus部門立役者を北欧責任者に

Lotusの躍進が著しい。「IBMでは、10億ドルを投じて推進してきたUCC戦略が実を結び始めたのだと考えられる」とeWEEK。その背景には何があるのだろう?

[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 米IBMのLotus Softwareグループでゼネラルマネージャーを務めていたマイク・ローディン氏が昇進していたことが分かった。同グループが、前年同期比17%増となり第1四半期の売上げを発表したのは、4月16日の2週間前のことである。

 IBMの広報担当者はeWEEKの取材に対し、ニューヨーク州アーモンクに本拠を置く同社は、4月1日付けでボブ・ピチャーノ氏がLotus部門のトップに就任したことを明らかにした。ピチャーノ氏は以前、IBMの世界情報管理販売担当副社長だった人物である。

 また、ローディン氏は7月1日から北欧のソフトウェア/ハードウェア/サービス販売分野を率いることになるが、それまではピチャーノ氏の業務引き継ぎをサポートするという。

 かつて、UCC(Unified Communications and Collaboration)に対する取り組みを強化しているIBMの現状をeWEEKに語ったこともあるローディン氏は、Microsoft OfficeやSharePoint、Google Appsスイートなどとの競争が激化する中、Lotusの堅牢な足場作りに尽力してきた。

 Ovum Researchのアナリスト、スティーブ・ホジキンソン氏は4月3日、ローディン氏が指揮を執るようになった2005年以来、数十億ドル規模の社内コラボレーションソフトウェア市場において、Lotusは13四半期(4月16日現在では14四半期)連続の成長を遂げたという。

 「Lotus Notes」および「Domino」の顧客ベースは1億1800万人から1億4000万人へ、インスタントメッセージングおよびWeb会議クライアント「Lotus Sametime」の顧客ベースは1300万人から1億人へと増加した。

 「ローディン氏が責任者となった2005年、Lotus Software部門は弱体化していたが、同氏は事態を打開する重要な施策を打ち出して、実にうまく舵取りをした」(ホジキンソン氏)

 「2000年代に入った最初の頃、Lotusは苦境にあえいでいた(さらに言えば、Lotusのファンから見ても明らかに下り坂だった)。『IBM Workplace』のポジショニングがハッキリせず、中核となるNotesプラットフォームの刷新がどうしても必要だった」(ホジキンソン氏)

 IBMは同社のソフトウェア関連5部門の業績について、具体的な数値は発表していないが、ローディン氏率いるLotus部門は、同社がCognosの買収を完了させたこともあり、2008年第1四半期には27%という情報管理部門に次ぐ成長率を記録した。

 何がLotusの躍進を促したのだろうか? Notesの採用数が急に増加したことや、第1四半期にエンタープライズソーシャルネットワーキングソフトを導入する企業が多くなったこと、そして、彼らが「Lotus Connections」や「Quickr」を選択したことに原因があったのだろうか。実際には、IBMが10億ドルを投じて推進してきたUCC戦略が実を結び始めたのだと考えられる。

 IBMの上級副社長兼最高財務責任者であるマーク・ルーリッジ氏が4月16日に業績発表を行っているが、Lotus部門の増益額に関しては口を濁し、顧客はLotusのコラボレーションおよびソーシャルネットワーキングソフトウェアを生産性向上のために購入しているとだけ述べた。

 一方、Burton Groupのアナリスト、ガイ・クリース氏とカレン・ホバート氏は、経済専門家がそろって景気後退を指摘している時期にIBMが好業績を上げた理由について、これとはほかの説を唱えている。

 MicrosoftのSharePointコラボレーションスイートが勢力を増している現状を考慮するに、10億ドルをつぎ込み、Gartnerのアナリストであるトム・オースティン氏が言うように、過去2年間で他社のどのコラボレーション製品をも上回るスピードでLotusを成長させたIBMには驚きを感じると、クリース氏は話している。

 クリース氏は4月17日、「多数のNotesユーザーがMicrosoftのSharePointへ移行するか、移行を検討しているのを知っているので、こうした結果には戸惑った。QuickrやConnectionsなど、Lotusの上顧客がこれから購入すべきコンポーネントがいろいろとあるため、他製品に乗り換える者がいれば、IBM Lotusにさらに投資をするユーザーもいるということだろう。さらには、海外事業の好調も躍進の一因と思われる」とeWEEKに語った。

 第1四半期におけるIBMの成長率は、米国内より国外の方がはるかに大きい。2007年と比較した国内の売上げ増加率は8%であるのに対し、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)地域で稼ぎ出した収入は88億ドルで、同16%増となった。アジア太平洋地域でも売上げは14%上昇し、51億ドルに達している。

 ホバート氏は、「WebSphere Portal」の販売が好調であり、特に欧州の業績が米国を凌駕していると指摘した。また、多数の企業がSharePointの利用を考えるのと同時に、IBM製品のライセンス更新も行っているという。

 「移行のための機能をあらかじめ備え、支援ツールも充実している『Exchange』とは異なり、NotesからSharePointへ乗り換えるのはなかなか難しい。そうした理由から、Notesとまではいかなくとも、Webアプリケーションプラットフォームに格下げされてはいるが、Dominoくらいはしばらく更新しておくという企業は多い」(ホバート氏)

 IBMは今後も安定した成長を遂げられるだろうか。

 より効率的なビジネス上の相互関係や、協力的な仕事環境に対する顧客のニーズを同社が掘り起こせるかどうか次第だと、Ovumのホジキンソン氏はこの問いに答えている。

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