企業が「インサイト」を得るのに大きく貢献するのが、1月に公開買い付けが成功したビジネスインテリジェンスのリーダー、Business Objectsのソリューションであることは言うまでもない。
ステージでは、「収益性を確保しつつ売り上げを伸ばす」という財務戦略に対して、実際の業務遂行がうまく行かず、販売費用が計画をオーバーしている課題をSAPとBusiness Objectsのソリューションがどのように解決するかがデモされた。マネジャーがKPIを詳細に見ていくと、どうやら輸送費に問題があることが分かり、アドホックなタスクとして、問題解決をそれぞれ担当者に指示した。解決を求められた担当者は、ビジネスユーザーが手軽に使えるBusiness Objectsの分析ツールでビジネス要件に応じた最適な運送会社を割り出すことができた。
この日の午後には、Business Objectsのジョン・シュワルツCEOがやはり基調講演を行い、「われわれのソリューションの価値は、インサイトが得られ、それに基づく戦略を設定でき、ビジネス現場に近いところの意思決定を支援できることだ。クローズドループで業績を最適化できる。世界でこれだけの能力を備えたベンダーはないし、将来もない」と胸を張った。
ただし、ビジネス要件に応じたルールづくりが出来ても、それを迅速に運送会社選定のプロセスに反映できなければ、ギャップは放置されたままだ。つまり、ビジネスとITのギャップも埋めなければならないのだ。
SAPはこの日、「Project Galaxy」のコードネームで開発中の「SAP NetWeaver BPM」をSAP NetWeaver Conposition Environmentの拡張として2009年初めにリリースすることを明らかにした。
開発者でなくとも、例えばビジネスに精通しているビジネスアナリストが、BPMN(Business Process Modeling Notation)標準をベースとしたモデリングツールを使い、新たなプロセスを追加したり、組み替えられるのが最大の特徴だ。昨年買収したYasu Technologiesのルール管理技術も組み込まれている。
「今は企業にとっては競合が激しい、たいへんな時代に違いないが、われわれはむしろ勝機だと捉えている。ビジネスネットワークを構築できれば、それが競争優位の源泉となるからだ。現状のビジネスに安穏とすることなく、一歩踏み出そうとしている企業をSAPは支援したい」とカガーマン氏。
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