売れる仕組みは、適時、適品、適量、適所、適価の『五適』ファッション業界のIT化(2/2 ページ)

» 2008年05月15日 15時48分 公開
[ITmedia]
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すべての商品について同じ視点で販売ができる

 現在、情報分析・アラートシステムで行われているチェック項目としては、商品の発注、補充、配分、売変などがある。「バイヤーやディストリビュータが行う毎日の仕事に対するチェックと検討ということですが、要は、商品を仕入れて、いかに利益を最大にするかということですから、それらの項目に重点を置いています」と梅田氏は語る。

 販売計画に基づいて仕入れられた商品は、店舗の売り場面積や地域特性などを考慮して各店舗に配分され、補充分も取り分けられる。従って店舗内で検索する必要がなくなり、バックストックがゼロ、品出しのスピードが向上した。そして売れ行きを見ながら、日次で自動補充が可能となった。

 「従来は、注目を浴びている特定の商品については、各店舗で細かく対応することはできていました。もちろん、現在のように店舗数が500近くになり、1店舗あたりの商品の数も約3万着となると、当然、それさえも無理になります。しかし、ツールの導入によって、売れ筋の商品だけではなくすべての商品について同じ視点で売ることができるようになるのです。売れる商品を見逃すこともなくなると思います」(梅田氏)

 さらに梅田氏は「商品がなぜ売れたのか、なぜ売れなかったのかの分析は、実質的には売場の人間の意見を聞いて行っているのが現状です。そうすると、分析にも個人差が出てくる。それをなくすためにも、今後は、データマイニングによってもう少し細かい分析が必要になると思います」と話す。また、現在卸200社との売り上げデータ共有を進めており、今後需要予測精度はかなり向上するという。

情報系システム(IDEA)の構成図

導入効果を聞く PDCAサイクルを早く、しっかりと機能させたい

ITmedia BIツールの導入効果は?

梅田 情報系システムのインタフェースとして、ビジネスオブジェクツのツールはすごく有用です。今まで使っていた他社のBIツールは、使い勝手が悪く、専門知識がなければ使えないようなものだったので、データの分析はエクセルのダウンロード機能を駆使して行っていました。そのため、かなり時間が取られていましたが、今は簡単にできるようになっています。店舗でも本部でも各作業の所要時間が短縮されたことは大きいですね。

ITmedia 統合BI基盤の最新版にバージョンアップされたそうですね。

梅田 短サイクルで4回目のバージョンアップですが、きっちりと手順を踏んでやってきており、トラブルもなく非常に安定しているので、結果的にはそれが良かったと思っています。

ITmedia 今後の展開は?

梅田 まだPDCAサイクルの土台作りが終わったところなので、完璧な形となって、本格的に機能するまでにはあと半年ぐらいは掛かりそうです。ファッション業界のIT化は米国が日本よりも10年ほど進んでいるので、それを一つのお手本にしながら、一流メーカーが推進しているようなIT化の王道をきっちりと歩んで行けば、必ず秀でることができるので、むやみに焦ることなく、じっくりと取り組んでいきたいと思っています。

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