ビル・ゲイツ氏最後のMicrosoft CEO Summit「博愛主義者に」(1/2 ページ)

これはゲイツ氏が行ったキーノートをライブでブログ投稿された“生の”記事である。最初の投稿のタイムスタンプは5月14日11時31分であり、キーノートはそれから約55分後に終わった。

» 2008年05月15日 18時21分 公開
[Joe-'Zonker'-Brockmeier,eWEEK]
eWEEK

 ビル・ゲイツ氏は、6月30日をもってMicrosoftでのすべての日常業務から退く予定だ。独占主義者から博愛主義者になるのだ。

 今回のMicrosoft CEO Summitで行われたキーノートは、同氏にとって数多くの“最後の”登場の1つになる。残念ながら、CEOたちを前にした同氏の最後のスピーチの内容は、SharePoint Server 2007の売り込みだった。失礼ながら、ビルはあまり優秀なセールスマンではない。多くの強みを持ってはいるが、どうもセールスは得意ではないようだ。しかし彼が行った「Microsoft Touch Wall」のデモは、今年最もクールなものだった。

 ビルはキーノートの冒頭、イノベーション全般について述べた。「ワーカーに真のパワーを与えるというイノベーションは始まったばかりだ。的確な判断を下すのに必要なツールを従業員に与えるという点に関しては、まだ理想から程遠い状況だ」と彼は述べた。

 ビルは、1990年代の好景気の理由の1つとして「ITによる従業員の能力向上」を挙げた。さらにストレージなどのハードウェアの低価格化にも言及し、「以前は非現実的だったことが驚くほど現実的になった」と述べた。

 わたしには、Microsoftのソフトウェアの価格は低下するどころか、むしろ上がっていることに彼が言及しなかったのが気になった。

 ビルによると、Eメールコラボレーションなどの既存のツールは、今日のニーズに効果的に対応していないという。これに対するソリューションは約8年前に、相次いで登場した(ビジネスインテリジェンスなどさまざまな名前が生まれた情報ブーム)。しかしユーザーインタフェースはばらばらだった。彼はこの状況を、かつてのばらばらなファイルフォーマットの時代になぞらえた。(こういった考え方の延長線上に何があるか、読者には見えるだろうか?)

 「Webサイトでも同じことが起きる必要がある」と彼は強調した。ビルのソリューションがSharePointである。ここから彼は、ばらばらな企業Webポータルに対する解決策としてSharePoint Server 2007の宣伝に入った。

 ビルは次に、自分がどんなふうに仕事をし、SharePointが彼の仕事生活をどう改善したかを具体例で示した。彼は「紙を驚くほど多用していたMicrosoftのレビュープロセス」について語った。以前のやり方では、従業員はExcelのスプレッドシートにデータを入力し、それを郵便で配布していたという。「この作業には多くの時間がかかった。しかし今日では、これがペーパーレスプロセスになっている」と彼は述べた。

 SharePointの人事管理機能については、「われわれがビジネスの鼓動を捉えるベストな手段となっている」という。さらにビルは、同様のツールを利用した財務分析機能を紹介した。

 ビルは「これはビルディングブロックである」として、Officeがファイルフォーマットを共通化したようにWebサイトを共通化することに言及した。しかし“共通の”Webサイトを作ることに関しては、彼はMicrosoftが企業に与える影響を過大評価しているようにわたしには思えた。

 ビルは次に、「The Next Wave of Business Productivity」(ビジネスプロダクティビティの次の波)と題したスライドを示した。そこには今後のIT改善分野として、ユニファイドコミュニケーション、ソーシャルコンピューティング、エンタープライズ、ビジネスインテリジェンスの4つの分野が示されていた。当然のことながら、Microsoftはまさにこれらの技術分野で前進している。

 ビルは、どの企業もネットワーキング/インターネットワーキングアーキテクチャに投資していると語った。差別化要因になるのは、「その上に配備されるソフトウェアプロセス」だという。

 SharePointのデモの間、ビルはステージから離れた。このデモでは、Microsoftは既にFast Search & Transferの技術をSharePoint Serverに統合したという興味深い説明もあった。なお、Microsoftは1月にFast Search & Transferの買収を発表した。

 コラボレーション用のSharePointエクストラネットポータルは、インターネット上で約15万サイト稼働している。

 デモの終了後、「情報エンパワーメントはますます強力になっている」とビルは語った。

 ビルは次に「ナチュラルユーザーインタフェース」の話題に移り、この技術によってユーザーがデバイスを操作する方法がどう変わるかについて説明した。彼はナチュラルユーザーインタフェースの例として、音声入力やタッチスクリーンなどを挙げた。

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