最低限のバックアップはしているけれど?Windows Server環境バックアップ実践 [準備編](2/3 ページ)

» 2008年05月27日 08時00分 公開
[谷川耕一,ITmedia]

本格的なバックアップ体制の必要性

 これまでの対応でもなんとかデータの保護はできているが、社員数も増え、扱うデータの量も増えた現状では、もう少し統制のとれたバックアップの仕組みの必要性も感じていた。とくに、最近の内部統制強化が望まれる状況下では、大手クライアントと仕事をする際に社内システムのセキュリティやバックアップの体制を明確に提示する必要もある。これがいい加減だと、大手企業からは仕事が受注できないのだ。

 また、単なるデータのバックアップだけでなく、システム全体をバックアップする必要性も感じていた。システムにトラブルが発生すると、データは保管されているのでそれを利用し一時的に代替え機で業務を継続できるのだが、壊れたシステムは最終的には復旧させる必要がある。そうすると、普段はソフトウェア開発に従事するエンジニアの手を煩わせ、復旧作業を行わねばならない。システム復旧の作業は、かなり時間と手間がかかるのが普通だ。そのためエンジニアの時間を奪い、当然ながら業務に支障が出る。

 これを回避するためにも、たんに重要データをバックアップするだけでなく、迅速にシステム全体が復旧できる方策が必要となる。重要なデータのバックアップとシステム全体の迅速な復旧体制、この2つが両立した体制の実現が課題となっていた。

バックアップツールの選択

 これまでの対処療法的な対策をあらため、遅ればせながらバックアップ体制の強化を行うことにした。システム開発に利用しているUNIXやLinuxのサーバ群は、開発内容によって流動的であり構成も頻繁に変わる可能性があるので、当座は重要なデータを、cronコマンドを用い定期的にコピーする方法を継続する。Windows Serverについては、新たにバックアップツールを導入しデータの保護とシステム全体のバックアップも実施することにした。

 Windows Serverにも、バックアップツールが標準で用意されている。単純なバックアップを個別で行うのであればこれを利用する手もあるのだが、今回は以下の理由から市販のバックアップソフトウェアを導入することにした。

  • バックアップの運用管理をなるべく一元化し自動化することで作業負荷の軽減を図りたい
  • Windows Server 2008も出荷されたので、将来的に異なるバージョン、異なる種類のOSが混在する環境にもきちんと対応したい
  • 仮想化されたサーバを利用しマシンの稼働状況を効率化するといった、最新技術も後々活用したい

 これらの理由から、データのバックアップにはSymantec Backup Exec 12を、システム全体のバックアップにはSymantec Backup Exec Systtem Recovery 8を選択した。この2製品を選んだポイントは、上記の導入目的をクリアできることと、業界での豊富な実績を評価してのことだ。実績が豊富であれば、さまざまな技術情報も得やすい。ちなみにこれらの製品の価格は、Symantec Backup Exec 12が1サーバあたり15万4200円、Symantec Backup Exec Systtem Recovery 8が1サーバあたり18万7200円だ。

 この2つの製品は4月15日出荷を開始したばかりであり、最新のWindows Server 2008にもいち早く対応している。さらに、Symantec Backup Exec 12は、バックアップ対象プラットフォームにはWindows 2000、Winodws XP、Windows Server 2003はもちろんのこと、Mac OS X、Solaris、AIX、HP−UX、LinuxというさまざまなOSにも対応している。将来的に、開発環境のUNIXやLinuxのサーバマシンのバックアップもこのツールから一元管理できる可能性もある。

 Symantec Backup Exec Systtem Recovery 8選択の最大のポイントは、まったく異なるハードウェアでも復旧先にできるという点だ。とりあえず予備のサーバマシンがあれば、トラブル時にサーバ復旧に時間を取られることはない。いったん予備マシンにシステムを復旧し業務を継続して、手が空いたとき元々のサーバマシンを復旧するといったことも容易だろう。

 また、Symantec Backup Exec Systtem Recovery 8は、流行の仮想環境にも対応している。物理サーバから仮想化されたサーバに、仮想化サーバから仮想化サーバに、仮想化サーバから物理サーバにと、多彩なサーバ間でシステムを復旧できる。これならば将来的に大規模な仮想化サーバを用意できれば、そこから新たな環境を切り出すだけで復旧でき、予備マシンを用意する必要もなくなる。

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