メールの先にある新しいコミュニケーション環境 〜ユニファイドコミュニケーションの世界〜

電話やFAX、そして電子メールは現代のビジネスに欠かせないコミュニケーションツールである。また最近では、インスタントメッセージングやテレビ電話、Web会議システムなども登場している。いずれも便利なものだが、それぞれはあくまでも個別のツールとして機能しているのが現状だ。「ユニファイドコミュニケーション」は、こうしたコミュニケーションツールの連携・統合を実現するソリューションとなる。では、ユニファイドコミュニケーションによる理想のコミュニケーション環境には、どのようなメリットがあるのだろうか。ユニファイドコミュニケーションが注目される背景からその効用までを、ソリューションの提供および構築で実績を持つデルとノーテルに聞く。

» 2008年06月13日 10時00分 公開
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ユニファイドコミュニケーションとは?

 2007年10月、デルは北米においてノーテルとユニファイドコミュニケーションの分野で協業していくことを発表した。また、それに先立つ2006年7月には、ノーテルとマイクロソフトがユニファイドコミュニケーション分野での提携を結んでいる。Exchange Serverをはじめとする数多くのソリューションを提供してきたデルだが、その視線の先には、新たなコミュニケーションモデルが描かれているようだ。

 

 こうした動きの背景には、ここ数年で起きたコミュニケーション環境の激変がある。インターネットの普及とブロードバンド化の進展により、電子メールだけでなくインスタントメッセージングやテレビ電話、Web会議システムなどの新しいツールが次々と登場した。加えて、高機能化した携帯電話の普及とスマートフォンの台頭、IP電話の広がり、無線LANのインフラ整備と、ここ数年のコミュニケーション環境の充実ぶりには目覚ましいものがある。

 ただし、多種多様なツールの氾濫により、管理の手間が増えるという弊害も生まれた。携帯電話を何台も持ち歩き、複数の電話番号やメールアドレスを使い分けているユーザーは少なくない。これに加えて、インスタントメッセージングのアカウント、Web会議システムのIDとパスワードなど、ツールごとに管理すべき情報も多い。

 さらに、従来のツールの使い方そのものにも変化が見られるようになった。デルの田中里織氏はこのように指摘する。

デル株式会社 ソリューション・サービス本部 インフラストラクチャ・コンサルティング・サービス コンサルティング第2部 テクニカルコンサルタント 田中里織氏 デル株式会社 ソリューション・サービス本部 インフラストラクチャ・コンサルティング・サービス コンサルティング第2部 テクニカルコンサルタント 田中里織氏

「電子メールはもともとリアルタイム性の低いツールですが、最近は出したメールに対してすぐに返信を求められるケースが増えています。高いリアルタイム性を求めるならインスタントメッセージングが適していますが、その環境が行き届いていないために、メールがインスタントメッセージングの代用として使われているのです。つまり、目的とツールのミスマッチといった現象です」(田中氏)

 一方、電話を中心としたいわば伝統的なコミュニケーションも、まだまだ健在だ。しかし、電話によるコミュニケーションには、さまざまなムダが潜んでいるのも、また事実である。

「特定の個人に連絡をとるために、会社の代表番号に電話し、次々と部署間の取り次ぎがあり、ようやく本人にたどり着いたと思ったら不在だった、といったケースは決して少なくありません。このため、本人と直接コミュニケーションのとれる携帯電話が、ビジネスでもよく利用されるようになったのでしょう」(田中氏)

 固定電話、携帯電話、メール、インスタントメッセージング、Web会議システムなど、新旧のツールをすべて統合し、状況に応じて簡単に使い分けられる環境を実現できれば、コミュニケーションの質とスピードは確実に向上するだろう。「ユニファイドコミュニケーション」とは、まさにその仕組みのことなのである。

デルが提案するユニファイドコミュニケーション実現への3つのステップ

 デルは、これまでMicrosoft Exchange Serverの導入を数多く手がけてきた。その中で、ユニファイドコミュニケーションの実現に必要な環境も整ってきたという。

「以前のようにメールアドレスを複数人で共有することが減り、各ユーザーが個別のメールアドレスを持つのが一般的になってきました。その意味でも、ユニファイドコミュニケーションを実現できる環境が整ってきたと実感しています」(田中氏)

 今日、リアルタイムなコミュニケーションが求められる中で、メールは一方的な連絡手段のため、相手からのレスポンスがいつ返ってくるのか、メールでの連絡が最適なのかどうか、相手の行動を知っていないと判断できないことが往々にしてある。ユニファイドコミュニケーションは、こうしたメールの欠点を補ってくれるものでもある。

 ユニファイドコミュニケーションを検討している企業は、3つのステップで段階的に導入していくのがよいだろうと田中氏は説明する。

「第一ステップは、メールでのコミュニケーションの効率化、第二ステップはWebカンファレンスやオーディオ/ビデオカンファレンスの利用、第三ステップは電話との統合です。まず第一ステップでは、Office Communications Server 2007を導入し、そのプレゼンス機能を活用することで、ユニファイドコミュニケーションをメールの補完ツールとして利用するのがよいと思います。プレゼンス機能を利用することで、連絡を取ろうとしている相手が在席中なのか、会議中なのか、不在の場合何分後、何時間後に戻ってくるのか、といったリアルタイムな情報が一目で確認できるようになります。また、文字チャットで簡単な用件を済ませることもできます」(田中氏)

 いわゆるメッセージングツールを導入することで、プレゼンス情報を利用して、相手に合わせた適切なコミュニケーションツールを選択できるようになるわけだ。

 第二ステップのWebカンファレンスやオーディオ/ビデオカンファレンスについては、場所を選ぶことなく会議やプレゼンテーションが可能になるメリットがある。実際に、デル社内でもWebカンファレンスを利用したミーティングやプレゼンが日常的に行われていると、デルのテクニカルコンサルタントである和田健太氏は言う。

「会議というものは、すべての参加者が同じ部屋に集まらなければなりません。また、ビデオ会議を開くには大きな投資をして設備を整えることが必要でした。WebカンファレンスはPCとマイク・カメラがあれば場所を選ばないため、各々が異なる場所から会議に容易に参加できます。デル社内でも、米国やカナダ、シンガポールのスタッフとの打ち合わせにはWebカンファレンスを利用して、プレゼンターが資料を見せながらプレゼンテーションを行っています」(和田氏)

デル株式会社 ソリューション・サービス本部 インフラストラクチャ・コンサルティング・サービス コンサルティング第2部 テクニカルコンサルタント 和田健太氏 デル株式会社 ソリューション・サービス本部 インフラストラクチャ・コンサルティング・サービス コンサルティング第2部 テクニカルコンサルタント 和田健太氏

 最後のステップが電話との統合である。第一および第二ステップは、PC側の対応で完結するが、電話との統合となると、既存の電話網との連携が必要になるため、話はいくらか大がかりになる。従って第三ステップということになるのだが、しかし、だからこそ、電話との統合が企業にもたらすメリットも大きい。

「通常、ユーザーのデスクにはPCと電話が置かれていますが、電話統合をすることでPCから外線や内線電話をかけられます。不在の着信も知ることができ、不在時の携帯電話への転送、さらにExchangeとの連携により留守電がメールで受け取れるため、外出の多い営業マンは外出先から着信の知らせや留守電をメールによって確認できます。顧客に対しては、携帯番号、会社の代表番号、ダイアルイン番号などの複数の番号を伝える必要がなく、1つの番号で事足りるのです」(和田氏)

Officeとの統合で実現されるユニファイドコミュニケーション

 こうしたユニファイドコミュニケーション環境を実現するソリューションは、すでに企業向けに幾つか提供され始めている。中でも、デルが提供するソリューションは注目に値する。マイクロソフトのExchange Server 2007やOffice Communications Server 2007、Office SharePoint Server 2007の相互運用、それにノーテルの電話機とIP-PBX製品であるCommunication Server 1000、キャリア向けVoIPソフトスイッチであるCommunication Server 2000を組み合わせたデルのソリューションは、ユニファイドコミュニケーションを実現するための機能をモジュール化し、顧客が必要な機能を個別に選択し、段階的かつ柔軟な導入ができることが特徴で、高い評価を得ることになりそうだ。

【UCモジュール化イメージ】

 Exchange Serverをはじめとするマイクロソフトプロダクトのソリューション構築で、すでに数多くの実績と経験を持っているデル。ユニファイドコミュニケーションのソリューション構築においても、その経験が十分に生かせると和田氏は言う。

「Exchange ServerやOffice SharePoint Serverといったコミュニケーション製品のソリューションを数多く手がけてきましたので、ユニファイドコミュニケーションのソリューション構築・提供は、いわばその延長線上にあるものと考えています。“ITをシンプルにする”ことがわれわれの一貫したテーマですが、ユニファイドコミュニケーションにより、さらに“コミュニケーションをシンプルにする”ことも実現できると確信しています」

 具体的なソリューション提案としては、前述の3つのステップに沿ったプランが描かれている。

「導入の提案としては、大きく3つのステップを考えています。第一ステップはインスタントメッセージング環境の導入、次がWebカンファレンスやオーディオ/ビデオカンファレンスのシステム、最後が電話との統合です。もちろん、バックアップやリカバリのシステムも含めたデルならではのトータルな提案が可能です」(和田氏)

 すでにExchange Serverが稼働している環境があればさらに利便性が高まる。まずはインスタントメッセージング環境を導入して、社員のプレゼンスを確認できるようにするだけでも、ユニファイドコミュニケーションの利便性を実感できるだろう。また、Officeと統合されているのも大きなメリットだと和田氏は言う。

「使い慣れたOfficeアプリケーション上から、いつでも誰とでもコミュニケーションをとれるのが大きなメリットです。Outlookから相手のプレゼンスを確認してインスタントメッセージを使ったり、電話をかけたりといったことが簡単にできます。日常的に利用されているOfficeアプリケーションと統合されていますので、ユーザーは自然にユニファイドコミュニケーションを利用できます。」(和田氏)

海外では当たり前のユニファイドコミュニケーション

 ここまで、ユニファイドコミュニケーショにより実現される世界、具体的なソリューションについて説明したが、国内企業のユニファイドコミュニケーション導入は、まだまだこれからという状況だ。2008年は、国内企業がようやくユニファイドコミュニケーション導入の検討段階に突入する年と言われている。

 一方、海外に目を転ずると、すでにユニファイドコミュニケーション環境は当たり前のように使われているようだ。ノーテルの坂内聡氏は、自社の例を次のように語る。

「シドニーにあるノーテルのオフィスでは、ユニファイドコミュニケーション環境により、社員の半数が自宅で仕事をしています。オーストラリアという広大な国土なので、自宅とオフィスの距離、時差といった物理的な条件もありますし、交通費や出張費の抑制というコスト面のメリットもあります。社員のプレゼンス(在席状況)がすぐに把握できるため、必要な人とすぐにコミュニケーションがとれるメリットも大きいですね。また、自分自身や家族との時間を大切にしたいといった海外ならではの考え方も背景にあると思います」(坂内氏)

ノーテルネットワークス株式会社 プロダクトマネージャー エンタープライズマーケティング エンタープライズアンドチャネルズ営業本部 坂内聡氏 ノーテルネットワークス株式会社 プロダクトマネージャー エンタープライズマーケティング エンタープライズアンドチャネルズ営業本部 坂内聡氏

 さらに、「ディザスタリカバリ(災害復旧)」の観点からユニファイドコミュニケーションに注目する企業も増えている。

「2003年8月に起きた北米大停電のときも、ノーテルは通常の85%の生産性をキープできました。ニューヨークにあるオフィスは被害を受けましたが、被害を受けなかった自宅にいる社員は、ユニファイドコミュニケーションの環境を利用して仕事を継続できたからです」(坂内氏)

 海外でユニファイドコミュニケーションが受け入れられている背景には、企業のグローバル化がいち早く進展したことも関係があるだろう。時差、物理的な距離、言語の違いといった障壁を取り去り、個々の社員のライフスタイルやワークスタイルを支えるビジネス環境を構築する上で、ユニファイドコミュニケーションの導入は必然であったとも言える。

 同時に、通勤や出張などに伴う移動コスト、交通機関を利用しないことによる環境面への配慮、コミュニケーションの遅延により発生するさまざまなロスの抑制といった企業側のメリットも大きい。

 だとすれば、今後、国内企業のグローバル化がさらに進展するにつれて、ユニファイドコミュニケーションに注目する企業は、確実に増えていくと予想されるのである。

ユニファイドコミュニケーションの起爆剤は「ワンナンバー・ワンアドレス」

ノーテルネットワークス株式会社 セールスサポートエンジニア エンタープライズテクニカルセールスサポート 山仲栄治氏 ノーテルネットワークス株式会社 セールスサポートエンジニア エンタープライズテクニカルセールスサポート 山仲栄治氏

 では、国内でユニファイドコミュニケーションが広く普及していくための条件とは何か。それは、「ワンナンバー・ワンアドレスで個人にアクセスできること」だとノーテルの山仲栄治氏は言う。

「完全なユニファイドコミュニケーションを実現するには、ワンナンバー・ワンアドレスで個人にアクセスできることが求められるでしょう。しかし日本企業の場合、会社の代表番号や部署番号のように、グループとして番号を持つケースが多いのが現実です。その意味では、従来の電話の使い方を変えていくことも必要ではないかと思います」(山仲氏)

ユニファイドコミュニケーション=企業にも個人にもメリットのある環境

 では、今後ユニファイドコミュニケーションの導入が進むにつれて、われわれの仕事環境はどう変化していくのだろうか。

 ユニファイドコミュニケーションによって、部署や会社、地域、あるいは国境といったボーダーラインを一瞬で超えて個人と個人がコミュニケーションできるようになる。その結果、コミュニケーションの遅延が減り、ムダな時間が削減される。つまり、ビジネスの効率が高まり、スピードは上がる。同時に、削減された時間を有効活用することで、個人はより自由なライフスタイルやワークスタイルを手に入れられる。

 企業の経営層にとっては、「時間」を経営資源と理解することで、ユニファイドコミュニケーションの価値が高まるだろう。一つ一つのコミュニケーションの遅延は小さいかもしれないが、まさに「ちりも積もれば山となる」で、積み重なると膨大な損失となる。これまでは、それを取り除く効果的な手段はなかったが、これからはユニファイドコミュニケーションという手段が選択できるのだ。

 企業にとっても、そこで働く一人一人の個人にとっても、多くのメリットを秘めたソリューション、それが「ユニファイドコミュニケーション」と言えるだろう。

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提供:デル株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2008年6月30日