SunがSPARCプロセッサを外販Themisがパートナーに

UltraSPARCプロセッサは、データセンターが抱えている仮想化と統合化の問題を解決するのに不可欠だという。

» 2008年06月04日 00時05分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 米Sun Microsystemsでは、マイクロエレクトロニクス部門をさらに活気づけようとしている。

 Sunが昨年設立したマイクロエレクトロニクス部門の狙いは、マイクロプロセッサ技術を開発するだけでなく、同社のシリコン技術を他社や顧客にライセンスおよび販売することにもある。

 Sunは6月2日、Themis Computerが新たなパートナーになったことを明らかにした。Themisは、SunのUltraSPARC T2プロセッサ(以前は「Niagara 2」と呼ばれていた製品)をブレードシステムの新シリーズ「T2BC」用として購入する。米軍や政府機関、通信企業向けにハードウェアの販売を手掛けるThemisは既に、SunのSolaris OSのライセンスを受けている。

 Sunのマイクロエレクトロニクス部門のマーケティング担当副社長、マイケル・クヌーセン氏は「われわれがUltraSPARCシリーズの外販に乗り出すのは初めてのことであり、Themisとの契約はわれわれのプロセッサデザインおける最初の成功の1つになる」と話している。

 クヌーセン氏によると、数社の企業がT2プロセッサの優れた浮動小数点演算能力(T2は8コアのそれぞれに浮動小数点演算ユニットを備える)、そしてネットワーキング用の10GbE(10ギガビットイーサネット)ポートをサポートする機能に関心を示しているという。

 Themisのビル・ケーレット社長兼CEOによると、これらの機能は今日のデータセンターが共通して抱える仮想化と統合化の問題を解決する上で不可欠だという。「Themisでは、過酷な環境で用いられるシステムも作っており、SolarisとUltraSPARCシリーズは当社の顧客のニーズに合致する」とケーレット氏は話す。

 利益の拡大と新規顧客の開拓を目的として、自社のプロプライエタリ製品を市場で販売するようになった大手ベンダーはSunだけではない。IBMは何年も前から、自社のPower Architectureをサードパーティーベンダーに販売している。(IBMではそのほかのデザインも販売しており、Themisでは新しいT2BCサーバ用にIBMのBladeCenterシャーシデザインを採用する。)

 Pund-IT Researchのアナリスト、チャールズ・キング氏によると、顧客は「UltraSPARCプロセッサのマルチスレッディング機能と電力効率に関心を示すだろう」としている。UltraSPARCは、市場に出回っているマイクロプロセッサの中でも電力効率に優れた方だという。

 「Sunは、UltraSPARC技術が自社製品専用のニッチチップにとどまるものではないことを示す必要もある」とキング氏は指摘する。

 さらに、「UltraSPARCチップのOEM供給先を開拓するというSunの取り組みの狙いは、新たな収益源を創出するとともに、SPARCプラットフォームがSun以外の製品もサポートできることを示すことにある」とキング氏は電子メールでの取材で述べている。

 「プロセッサプラットフォームの開発、維持、発展には大きなコストが掛かる。新たなOEMパートナーは、Sunがこういったコストを回収するだけでなく、利益を確保するのにも貢献するかもしれない。同社の取り組みはIBMがPowerプロセッサで展開したものと似ているが、Powerは本質的にSPARCよりも柔軟なアーキテクチャだ」(同氏)

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