デザインとコードの融合は“ココロのある”技術への回帰に

意志決定のためのコミュニケーションにおいて、可視化の意義はこの上なく大きい。イメージを共有し、新たなコミュニケーションを図るという理想は、かつてわたしたちが経験したはずの“感情の入りやすいエンジニアリング”にほかならなかった。日本SGIが提供を開始した高品位3Dリアルタイム・デザインレビューソフトウェア、「DesignCentral」の開発に込められた思いについて迫る。


 「人材的にも技術的にも、ハードウェア的にも最適なタイミングでこの製品を発表できたことを誇らしく思う」――日本SGIで高度ビジュアル・メディア開発本部本部長を務める橋本昌嗣氏は「DesignCentral」の誕生をこう語る。

 「DesignCentralのデモを見た方からは、『もうRTRT機能は必要ないね』という声をいただきます。わたしたちからすれば驚きなのですが、評価としてはそれほど高い」(橋本氏)――そこには、“日本SGIのハードウェアを購入いただいた顧客向けのオートクチュールソフトウェア”という感性からの脱皮を終えた日本SGIの姿があった。


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DesignCentral Imager(動画提供:日本SGI)

あなたの会社で「想像」と「創造」は本当に合従連衡しているか

 高品位3Dリアルタイムデザインレビューソフトウェア。これが「DesignCentral Imager」につけられた呼称である。そのアーキテクチャには、今後の日本SGIを左右するチャレンジングな取り組みも存在する。

 「2人が出会って、デザイナーとエンジニアという文化が融合するきっかけとなった」――橋本氏は、それまでずっと入社を誘い続けてきた平井直哉氏を入社させることに成功した時期の話を明かす。

photo 左から橋本氏、村内氏、平井氏。橋本氏の下に集った精鋭が“感情の入りやすいエンジニアリング”を実現する

 現在では高度ビジュアル・メディア開発本部インダストリアル・デザインセンターのマネジャーである平井氏。同氏が入社したとき、日本SGIにはデザイナーの文化が存在していなかった。「エンジニア主導での作成から一歩進んで、エンジニアとデザイナーが共同で製品を作り上げてきたことで、デザインという価値観に対する理解が進んだのではないか」と回顧する。

 「デザイナーとエンジニアの価値観の違いは「想像」と「創造」。2つの存在が交わり会って何かを作り出してきた企業には例外なく『らしさ』があります。かつて皆さんにSGI“っぽさ”と思われていたものはそういうものです。当時は、両者が“たまたまうまく”連衡していたのかもしれません。わたしたちは、それをシステムに再定義して確実に行えるようにしたのです」(平井氏)

 平井氏と時を同じく、こちらも橋本氏の誘いに応じて入社した男がいる。後にDesignCentral Imagerの開発の責任者を務めることになる高度ビジュアル・メディア開発本部第一ビジュアル開発マネジャーの村内達也氏だ。村内氏は入社当時をこう振り返る。

 「ソフトウェアベンダーとしてはまだ発展途上にある、と感じました。開発資産の蓄積があまりなされていなかったのです。DesignCentralの開発に当たって、『SGIとはグラフィックスである』という思いの下、底辺のライブラリから再構築しました。日本SGIが持つほかのソリューションでも利用可能にするという設計思想で作られており、企業としては企画ありきでものを考えられるシステムができあがったのです」(村内氏)

 「一方で、エンジニアだけでできるグラフィックスサービスの限界を感じていました。例えばテクスチャが裏返っているのを修正するプログラムを書くのは面倒ですが、今は平井がいる。『ねぇ、Mayaで引っくり返してよ』と頼むとすぐにできてしまうのです。逆に、頂点共有できていない部分を探す、となるとこれはプログラムで書いた方が早いのです。デザイナーとプログラマーはソフトウェアを介してのみ業務が連携しているのではないかと自問していたときに、この体験ができたことは重要でした」(村内氏)

 お互いに仕事の幅が広がるが、プロなのでそこはキッチリやってみせる――それを体現できた製品作りとなったことが、商品への揺るぎない自信となった。

photo DesignCentral Imagerにより生成された画面 (クリックで拡大表示)

車作りのメタファーをソフトウェアの上に

 橋本氏は、意志決定のコミュニケーションにおいて可視化は重要な存在であると話す。

 「コミュニケーションを同期/非同期、対面/分散という軸で4つに分けてみると、非同期で分散型のコミュニケーション(例えばメール)、リアルタイムで分散型のそれ(例えばIP電話)など特性がみえてきますが、ここで重要なのは、“非同期で分散型のコミュニケーションは、情報共有にはよいが、意志決定を行うものではない”ことです。そして、情報共有と意志決定の違いを知って企業活動にどう生かすかを考えることが次の時代の企業に求められています。対面で同期といった意志決定のコミュニケーションで可視化が効果的なのは理解いただけるでしょう。可視化の部分で人間の本能を追求した最大の支援ツール、それがDesignCentralなのです」(橋本氏)

 さらに、平井氏はデザイナーとしての観点から次のように付け加える。

 「カーデザインの現場で『やはりクレイはよかった』と話す方にその理由を尋ねると、『クレイの時代はデザインセンターの真ん中にクレイモデルで作った自動車の模型があり、進行状況が分かった。それがCADデータになってからは、どこまで進行しているか分からない。ある日見てみると、自分の意図とまるで違うものができあがってがくぜんとした』というのです。同じような“クレイモデルへの回帰”いう声が欧州のデザイン現場から多数上がっていることから、わたしたちは車作りのメタファーをソフトウェアの上に置きたいと考えました。それまで“モックで作り、チームの全員で確認できた”というメタファーは液晶ディスプレイとなってそこに呼び戻されます。イメージを共有し、新たなコミュニケーションを図ることで“昔ながらの車作り”の感覚をそのままデジタルに持ってくることができたのです」(平井氏)

photo 操作画面 (クリックで拡大表示)

 デザインのアイデンティティを確立するためのソフトウェア。おそらくそれは、エンジニアだけでは出てこなかった発想である。モックで表示することの意味は、それを実装する容易さがゆえにエンジニアは想像できないからだ。使い手を選んでしまっているソフトウェアが多い現状を見ると、DesignCentralが目指しているビジョンこそが本当に待ち望まれていたものといえる。

“感情の入りやすいエンジニアリング”への回帰

 作り手の思いが強く伝わる同製品だが、「(DesignCentralに)ユーザーが流れてくるという自信はある」と橋本氏は話す。

 今後の展開について橋本氏は、「DesignCentral Imagerで“見せる”部分には踏み込めた。すると今度は「書く」、つまりモデリングの方に踏み込む必要があり、さらにその前段階の作業にも目を向けていく必要がある。“見て感じる”というところから創造につなげるための機能、例えば特殊効果をつけた映像をリアルタイムで扱う機能などをプラグインとして提供したい」と明かす。

 「使い手は純粋にアナログの作業なのに、結果はデジタルで提供する、というのがわれわれの夢。技術ですが、もう少し“ココロのある”技術を提供する。それが今後、日本SGIの目指すべき道なのかもしれません」(平井氏)


 今回の話をまとめると、日本SGIはデザインの領域で、“非常に使いやすい”レベルで、「想像」から「創造」までのワンストップソリューションを提供できればと本気で考えているのだ。世の中にデザイナーとエンジニアを抱える企業は多いが、本当に両者の間でビジョンは共有できているのだろうか。そうした意味で、デザイナーとエンジニアが額を付き合わせて議論を交わしている日本SGIの組織作りの妙、そしてそんな日本SGIから誕生した「DesignCentral」は、真のデザイナー指向のツールといえる。


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CADモデルをリアルタイムに3D描画するデザインビューワ

CADで作成したモデルを簡単に高品質の3次元モデルへ変換し、リアルタイムな描画を可能にするデザインビュワーソフトウェアを紹介する。

 「DesignCentral Imager」は、CAD(Computer Aided Design)で作成したモデルを簡単に高品質の3次元モデルへ変換し、リアルタイムで描画できるデザインビュワーソフトウェアだ。

 これまでは、デザインしたモデルをリアルタイム表示するには複雑な表示用アプリケーション操作を習得するか、オペレーションを熟知した専任オペレーターへ作業を委託する必要があった。DesignCentral Imagerならば複雑な操作は必要なく、誰でも簡単に短時間で高品質なデザインレビューが可能となる。評価したい時にすぐ使えるため、デザインの生産性を向上できる。

 さらに、日本SGIでは同製品の販売に加え、主に企業のインダストリアルデザイン部門に対して、デザインプロセスにおけるよりスムーズな可視化を実現する高度なモデリング制作のコンサルティングサービスを積極的に提供している。

TechTargetジャパン ホワイトペーパー ダウンロードセンターにて入手できます。




提供:日本SGI株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2008年7月20日

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