データベースサーバにおける“CoolThreads”の威力を探るトランザクション検証で明らかになるUltraSPARCプロセッサの実力

サン・マイクロシステムズの“CoolThreads”テクノロジが、多数のコネクションを同時に処理することを求められるWebフロントエンドで威力を発揮することは、容易に想像できるだろう。しかしデータベースではどれほどのメリットがあるのか。伊藤忠テクノソリューションズは、同社と共同で検証を行い、その実力を明らかにした。

» 2008年06月09日 10時00分 公開
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Oracle DB on CoolThreadsサーバの実力

photo サン・マイクロシステムズ システム技術統括本部 テクニカルセンター ビジネス・アプリケーション技術部 システム エンジニア 松下正之氏

 過去の検証結果からも明らかなように、CoolThreadsテクノロジを用いたCPU「UltraSPARC T1」「UltraSPARC T2」は、多数コネクションの同時処理を行うWebフロントエンドで、非常に高いパフォーマンスを発揮する。マルチコア化によってCPUあたりの同時処理スレッド数を大幅に増やしたCoolThreadsテクノロジならではの威力といえよう。

 とはいえ、Webサーバとは違った能力も求められるデータベースサーバとしては、その実力もあまり知られていない。そのためにきちんとした検証が必要だったと、サン・マイクロシステムズ(以下、Sun) システム技術統括本部 テクニカルセンター ビジネス・アプリケーション技術部 システム エンジニアの松下正之氏は言う。

 「CoolThreadsテクノロジのようなアーキテクチャは、まだ他にありません。具体的にどれくらいのパフォーマンスを発揮できるのか、実際のアプリケーションに近い環境で検証しておきたかったのです。そこで、従来機との比較を行いました」。


Oracle環境では意外なメリットもあるUltraSPARC T1

 比較対象として選ばれた従来機種は、一世代前のCPU「UltraSPARC IIIi」を搭載した「Sun Fire V240」(以下、V240)。数多くの販売実績があり、現在も多くのユーザーが使用しているモデルだ。データベースは、やはり広く使われているOracleが検証の対象となっている。なお、伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)は、以前からSunとの間でUltraSPARCサーバにおけるOracleデータベースに関して、性能や耐障害性などを共同で検証してきた関係だ。定期的にミーティングも行い、情報を共有し合っている。今回、CoolThreadsサーバでのパフォーマンス検証を手掛けたのも、その一環ということになる。

 そして、CoolThreadsテクノロジ採用サーバとしては、UltraSPARC T1を搭載した「Sun Fire T2000」(以下、T2000)が選ばれた。実は、この機種はオラクルCPUライセンスが優遇されている、お得なサーバだ。

 一般的に、CPUあたりのライセンス体系を採っているソフトウェアベンダーでは、マルチコアCPUのコア数をシングルコアCPUのソケット数より若干割安に計算することが多い。オラクルでは、RISCアーキテクチャのマルチコアCPUに対する係数として、基本的に0.75を指定しており、例えば2コアの2CPUではシングルコア4CPUの75%の価格となる。しかし、Sun Fire T2000など一部の機種では、その係数が0.25に設定されている(*)。同一コア数で単純に比較すれば、ライセンス価格は他のマルチコアRISCサーバの3分の1で済むという計算だ。

 *注 UltraSPARC T1 1.4GHz 搭載サーバの場合、コア係数0.5となる。詳細はこちら。

明らかになったパフォーマンス、そして高いスケーラビリティと可用性

 詳細な検証内容や結果はSunのサイトで公開されているため、ここでは今回の結果ハイライトを紹介しよう。

 松下氏は、次のように説明する。

 「T2000は、V240の2〜3倍ものスループットを発揮することが分かりました。V240の上位モデルであるSun Fire V440にも匹敵する性能です。データベースサーバにおいても、CoolThreadsの驚異的な性能が明らかになったと言えるでしょう」。

 さらに、Oracle Real Application Clusters(RAC)環境によるクラスタ構成で検証したスケーラビリティも、リニアに近い結果が得られている。Oracle RAC環境では、さまざまな障害を模した試験も合わせて行われたが、いずれのケースでも想定通りに継続運用が可能であることも確認された。

 「CTCは、しっかりした評価検証のスキームを持っておられます。例えば可用性の検証では、サーバからケーブルを抜いて、その動作をログで確認するような地道な作業を何パターンも繰り返さねばなりませんが、そういった検証も迅速に行えるのが、すごいところです」(松下氏)。

優れたコストパフォーマンスで実績も増加

photo 伊藤忠テクノソリューションズ ITエンジニアリング室 ミドルウェア推進部 DB技術課 課長 小林範昭氏

 CTCの側でも、T2000の出した結果に満足しているという。

 ITエンジニアリング室 ミドルウェア推進部 DB技術課 課長の小林範昭氏は、「今回は、CPUに多数のコアが搭載されるというハードウェアアーキテクチャの大きな変化が、Oracleデータベースのパフォーマンスや可用性にどのような影響を及ぼすか、という点が検証の主眼でした。T2000は、パフォーマンスもスケーラビリティも、そして可用性も、期待通りの結果を出してくれたので満足しています」と語る。

 CTCでは、今回の検証をもとにしたノウハウを社内で展開し、顧客への提案を進めており、早くも採用実績が出てきているという。

 小林氏の部下で、オラクル製品に精通する北條将也氏は、今回の検証において実際の作業を担当した。北條氏は、顧客と直に接するSEに対し、社内でサポートする業務もこなしている。

photo 伊藤忠テクノソリューションズ ITエンジニアリング室 ミドルウェア推進部 DB技術課 北條将也氏

 「SEたちと話をしていると、Oracleデータベースの中でも、特にコストパフォーマンスが優れたStandard EditionとT2000を用いた構成の引き合いが強いようですね」と北條氏は言う。

 今回の比較検証に際しては、当然のことながらハードウェア以外の違いを設けていない。実環境でも、他のボトルネックにもよるが、サーバのハードウェアを更新することで大幅なパフォーマンス向上が期待できるということになる。しかも、V240はシングルコアの2CPU構成、T2000は8コアの1CPUであり、Oracleデータべースのプロセッサライセンス価格は変わらない。ミドルウェアまで含めて考えても、非常に優れたコストパフォーマンスだと言えるだろう。

 「Sunのサーバだけではありません。他のOS環境からT2000へと、Oracleデータベースサーバを移行しようとしているユーザーもいます。安くて信頼できるデータベース環境を実現できると判断したのだということです」(松下氏)。


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提供:サン・マイクロシステムズ株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2008年7月21日