Proximic、AdSenseキラーの広告システム立ち上げ

Googleキラーと言われるコンテンツ連動型広告プログラム「Proximic Publisher Program」がスタートした。

» 2008年06月18日 14時10分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 独Proximicが昨年10月にコンテンツ連動型広告プログラムを発表したとき、マスコミやアナリストはGoogleキラーになると考えた。同社が、パブリッシャーがトラフィックをお金に換えるためのコンテンツ・広告プログラムを開始した。

 6月17日に立ち上げられた「Proximic Publisher Program」は以前は大手の世界的なパブリッシャー向けで、Webページの内容に合った広告を表示するために利用されていた。今はメインストリームのメディアサイト、ブログなどのコンテンツ制作者が、同プログラムの5000万超の広告ユニットを利用できると、Proximicの共同創設者でCEOのフィリップ・ピーパー氏はeWEEKに語った。

 GoogleのAdWordsとAdSenseプラットフォームは同社に巨大な力をもたらし、年間170億ドルのオンライン広告収入の大半を稼ぎ出しているが、ピーパー氏は、キーワードベースの検索アプローチはマッチングの品質で劣り、ほとんどの広告インベントリから関連度の高い広告を選ぶ能力を欠くと指摘している。

 Proximicは関連度の高いコンテンツを読み取ってマッチングする、より優れたアプローチを提供し、各文書内の相互に関連する「パターン」を活用するという。これらのパターンは個々の単語ではなく文字に基づく。ピーパー氏はこれは非常に抽象的だとしているため、処理は同氏とそのチームに任せることになる。

 「以前から成功を収めているGoogleなどの入札型のシステムはまねしないという戦略的決定を下した」と同氏。「むしろ、当社の技術は多数の広告をシステムに迅速に入れ込んで、数億件の広告を同時にライブで検索あるいはマッチングできる」

 いずれにしても、同氏はこの「近似分析」が、パブリッシャーがキーワードやカテゴリーを事前に設定しなくても、意味のある記事、広告、製品を迅速かつ正確に配信する役に立つと語る。

 Proximicは当面、さまざまなソースからの広告リポジトリに注力する。例えば、メディアやショッピングのテキスト広告、求人広告を作っている。

 同社はYahoo! Shopping、eBay傘下のShopping.comなどのパートナーの電子商取引カタログを利用して、パブリッシャーがコンテンツに関連した広告を表示するのを支援する契約を結んでいる。これにより、パブリッシャーがサイトのトラフィックからより多くの売り上げを得られるようになることが理想だ。

 ピーパー氏は、Proximicの手法は「ロングテールコンテンツ」――従来の広告アプローチで収益化に苦労してきたブログやソーシャルサイト――の収益化により最適化されていると話す。こうしたコンテンツにはFacebookやMySpaceなどのソーシャルネットワークも含まれる。

 「GoogleのAdSenseなどほかのプレイヤーをつぶすためのものではないが、コンテンツ連動型広告の分野あるいはトラフィックのロングテールには適切に収益化ができる自動的なアプローチが必要だと考えている」(同氏)

 Proximic Publisher Programのβ版は既に公開されている。パブリッシャーはProximicにアクセスして、AdSenseと同じように登録できる。

 このプログラムは素晴らしく、独自のより優れた技術を有している点はよいが、ProximicがGoogleを追い落とせるかどうかを考える前に、同社はほかにも小さなプレイヤーがいるこの市場で持ちこたえなければならない。

 これは短期間で終わる戦いではない。IDCのカルステン・ウェイド氏によると、オンライン広告市場が活況を呈するのはまだこれからという。同氏の推定では、インターネット広告売上高は2007年には255億ドルだったが、2012年には2倍の510億ドルになる見通しだ。

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