中堅中小企業の経営基盤改革術

丸投げ力――先進ユーザーは知っているシステム導入の王道か(4/4 ページ)

» 2008年06月19日 08時00分 公開
[谷川耕一,ITmedia]
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必ず成功できる方法はない

 統合ERPパッケージを導入する際に、必勝法は存在しない。SAPやOracleのERPを導入して成功する中堅中小企業もあれば、国産の手頃なERPパッケージを選択したことが成功要因となっている場合もある。

 数百におよぶ各ERPの事例を集められれば、成功法則を見出すこともができるかもしれない。取材を通じて分かったことは、成功事例に共通しているのはユーザーの意思の強さだ。ERP導入の技術面については仮に丸投げするとしても、ERPを活用して会社のプロセスを効率化し、ビジネスを成長させるという将来像を、ユーザー企業の経営者がしっかりと持っている必要がある。

 中堅中小企業においてERPを導入するきっかけはさまざまだ。既存の会計ソフトのサポート切れ、株式上場を目指すため管理会計の強化が必要、取引先や親会社からの内部統制強化の要請など、必ずしも積極的な理由ではない。きっかけはどうあれ、いざ導入することが決まったならば、まずはシステムの理想像を描くことが大切だ。

 なるべくなら、「在庫を50%削減する」「納期を何日以内にする」「人件費を数千万円削減する」など具体的な数値目標を掲げるのがいい。丸投げ方式でいくなら、その理想像と具体的な目標数値を、徹底的にパートナーにぶつけることだ。しっかりと受け止めてくれるパートナーがいるならば、ERP導入がうまくいく可能性は間違いなく高まるはずだ。

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