若手が台頭しない野球チームと起業家が育ちにくい国Next Wave(2/3 ページ)

» 2008年06月20日 11時55分 公開
[幾留浩一郎,ITmedia]

起業家は尊敬されているか

 さらに驚くのは、「あなたの国では起業する人は尊敬されていますか?」という質問に対する回答結果。この調査は少し古く1999年だが、米国では9割、ドイツで7割、フランスで6割、ヨーロッパ諸国で一番低い英国でさえ4割が「尊敬されている」と回答している。しかしながら、日本ではそれが1割以下である。思わず目を疑ってしまうくらい極端に低い。

つまり、GEMの調査結果から浮き彫りになる日本の現状は、

(1)「できる」と考えて起業に挑戦する人も関わる人も非常に少ない。

(2)起業活動に十分な資金援助を得にくい。

(3)それでも頑張ってなんとか起業しても誰も尊敬してくれない。

 あくまで統計的な傾向だと思うが、なんともため息をつきたくなるような状況ではないか。

 「起業なんて個人のライフスタイルの問題で社会には関係ないね」という考えもあるかもしれない。しかし実は、起業活動は社会にとって極めて重要だ。なぜなら企業にも人間と同じように寿命があるためである。

 日本では1983年に日経ビジネスが「企業の寿命は30年」という記事を出して話題になった。それから21年後の2004年に、日経NEEDSが、日本の上場企業の中から新興市場や金融を除いた優良企業2278社を選び、「規模」「安全性」「収益性」「成長力」の4つの角度から様々なデータを分析した結果、「寿命30年説はまだ正しい」と結論づけている。

 それによると、「元気な優良企業は30歳代まで」と、まるで野球選手のようである。また日本の優良企業の年齢分布を見ると、50歳代の企業が697社と突出して多い。これも人間社会の団塊の世代そのまま反映しているようで面白い。

 社会にとって「起業」は、次の世代をになう子供を作ることに等しい。元気な子供が少ないと次の世代の成長が望めないのと同様に、元気な新企業が生まれ育たなければ社会が発展しない。

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