仮想アプライアンス入門Beginner's Guide(2/3 ページ)

» 2008年06月21日 02時11分 公開
[Mayank-Sharma,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

さまざまな仮想アプライアンス

 TrixBoxDimDimUbuntuなど、幾つかのソフトウェアベンダーは、一般的なtarballのダウンロードだけでなく、すぐに使えるアプライアンスの形でも自社ソフトウェアを配布している。特定のアプリケーションやディストリビューションを扱った仮想アプライアンスを探すなら、まずはその開発側を当たってみるといい。

 また、定評のあるアプリケーションやディストリビューションの仮想アプライアンスを集めたWebサイトも少なくない。仮想アプライアンスを探す場所としてよく知られているのがVMwareの仮想化マーケットプレースだ。多数の仮想アプライアンスの名前が並び、それらを無料でダウンロードできる。ただし、プロプライエタリなアプリケーションがバンドルされたアプライアンスや、VMwareによってエンタープライズ用途と認められたものは有料である。VMwareのマーケットプレースに並んでいるすべてのアプライアンスはVMwareの仮想化テクノロジーを利用して動作するため、実行には無償で提供されているVMware Playerが必要になる。

 VMwareは非常に普及度の高い仮想化ソフトウェアなので、個人によるWebサイトでも、特定の種類または系列のディストリビューションをベースにして普通に構築された仮想アプライアンスを提供しているところが幾つかある。VMwhereにはGentooやSlackwareのアプライアンス、ThoughtPoliceにはCentOSやDebian、Fedora、Ubuntu、それにFreeBSDのアプライアンス、JcinacioにはUbuntuに特化したアプライアンス、そしてVMachinesにはデスクトップ、サーバ、およびファイアウォール/セキュリティ用途の各種ディストリビューションのアプライアンスがそれぞれ用意されている。

 VMwareの普及度は確かに高いが、仮想化ソフトウェアはそれだけではない。XenVirtualBox、それにQEMUにもフリーの仮想アプライアンスが存在する。

 Xenはオープンソースの仮想マシンモニタ(ハイパーバイザ)としてよく知られている。Jailtime.orgというサイトでは、Xen上で動作するように変更が加えられた多くのLinuxディストリビューションが見つかる。Debian、CentOS、Fedora、Gentoo、Slackware、Ubuntuといった定番ディストリビューションの32ビット版のほか、そのうち幾つかについては64ビット版も用意されている。

 もう1つ、よく知られた仮想化ソフトウェアとしてVirtualBoxがある。こちらは、開発元のInnotekが最近Sunに買収されている。VirtualBoxにはクライアントの機能が制限されたオープンソース版が存在するが、フル機能のクライアントもすべて無料でダウンロードできる。VirtualBox用のアプライアンスを実行するには、これらのうち1つが必要になる。

 各種LinuxディストリビューションのVirtualBoxアプライアンスを提供しているサイトは幾つかある。HelpdeskLiveには、定番ディストリビューション(FedoraやUbuntuなど)のアプライアンスのほか、Cinelerraを搭載したUbuntu StudioやGCC付きのGNOME CentOS 5など、幾らか手が加えられたディストリビューションのアプライアンスも存在する。またveeDee-Eyesには、α版やβ版も含めてあらゆる種類のディストリビューションの修正版やデフォルト版のアプライアンスが用意されている。さらにSourceForge.netのVirtualBox Imagesプロジェクトでも、多数のディストリビューションのアプライアンスが見つかる。

 VMware、VirtualBoxXenといった仮想化ソフトウェアの登場前から存在していたのが、オープンソースのプロセッサエミュレータQEMUだ。アクセラレータコンポーネントのKQEMUとともに、その名は純粋なフリーおよびオープンソースの仮想化ソフトウェアを利用したいという人々の間に広まっている。QEMUを使ってLinuxおよびBSD系のディストリビューションを試したいなら、FreeOsZooを参照することだ。このサイトは、すぐに使える新旧さまざまなフル機能版ライブディストリビューションのアプライアンスを70種類近く提供している。こうしたアプライアンスの実行にはQEMUが必要だが、こちらは使っているディストリビューションのソフトウェアリポジトリから入手すればいいだろう。

 学校や職場でMicrosoft Windowsを使っているけれどもLinuxを利用したいという人は、Windowsホスト向けに最適化された、Bagvappの仮想化Linuxディストリビューションを検討するといい。このサイトには、Fedora、Ubuntu、Debian、Slackware、openSUSE、Mandriva、CentOS、Pardus、Vector Linux、Xubuntuなど、大小さまざまなLinuxディストリビューションをベースに構築された仮想アプライアンスが何十種類とある。Bagvappのアプライアンスはどれも無償で提供されており、VMware Player上でのみ動作する。

 MacユーザーであればParallelsのサイトが利用できる。同社の仮想化ソフトウェア用の各種Linuxディストリビューション、開発スイート、サーバ、通信ソフトウェアなど、多数のアプライアンスがそろっている。しかし、この仮想化ソフトウェアはプロプライエタリな商用ソフトウェアである。ただし、Linux用のParallels Workstationには試用版が用意されている。

 こうしてみると、アプリケーション特有のアプライアンスはVMware用以外にはあまり存在せず、仮想化ソフトウェアを問わず利用可能なものもなかなか見当たらない。しかし、さまざまな仮想化ソフトウェア上で動作する仮想アプライアンスを提供するアプライアンスベンダーが2つある。その1つがVirtual Appliancesであり、Tomcat、LAMP(Linux-Apache-MySQL-PHP)、LAPP(Linux-Apache-PostegreSQL- PHP)、Cactiといったよく使われている開発環境を利用してソフトウェアの構築や実行を行う効率化された4つのスタックを無償で提供している。これらはUbuntuのJeOS(Just enough Operating System)ベースで構築されており、VMware、Xen、Virtual Iron、MicrosoftのVirtual PCで使える。

 もう1つが、オープンソースのコンテンツ管理システムを導入するための優れた方法として実際に人気が高まっているJumpboxだ。JumpboxのWebサイトには、WordPress、Joomla!、Bugzilla、Mantis、Drupal、Alfresco、SugarCRM、OTRS、Redmineをはじめ、ほとんどあらゆる種類のオープンソースソフトウェアをベースにした仮想アプライアンス群が存在する。何よりも素晴らしいのは、VMware、Parallels、Microsoft Virtual PC/Server、Virtual Iron、Xenといったさまざまな仮想化プラットフォームで同じJumpboxアプライアンスが動作すること、そして無料でダウンロードできることだ。

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