「見える化」で萎縮? チーム活性化の秘術――シャドーワークの効用職場活性化術講座(2/2 ページ)

» 2008年06月25日 08時48分 公開
[徳岡晃一郎,ITmedia]
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さまざまなシャドーワーク

 このシャドーワークには、いくつかのフェーズがある。

(1)オフのシャドーワーク:仕事とは直接関係しない世界で、自発的に自分の成長のためにいろいろな知見を得たり、夢を育んだり、そのきっかけとなるような原体験を積んだりする活動のこと。仕事だけだとウスッペラな優等生になってしまう。その反対のしかけだ。オフの勉強会、街歩きでの発見(『知の交差点ハンティング』)、夜間のMBAへの留学など。

(2)インプットのシャドーワーク:これは自分の仕事の目標設定において、それを高いレベルにするための研究活動のこと。あるプロジェクトが与えられたときに、それを会社の想定する範囲内できっちりこなすのか、自分のやるべき理想を独自に考え出し、創造的な目標設定をするのかの違いだ。日産GT-Rは、ゴーンCEOの熱い思いに呼応したプロジェクトリーダーのチーフ・ビークル・エンジニア、水野和敏氏が、自動車業界の誰もが驚くような性能設計をしていった。普通の性能では満足できない水野氏は、そのために世界中を回って徹底的に自分の思いを高める努力をしている。痛くない注射針の開発、液晶テレビの開発など、これまでなかった商品やサービスが出てくる背景には、必ずインプットのシャドーワークが原動力になっている。

(3)ブレークスルーのシャドーワーク:高い志を持ってことに当れば当たるほど、既存の組織の慣行やルールとはぶつかる場面が多くなる。そこで必要なのが、このシャドーワークであり、ルールに従わずに、あの手この手で説得工作をしたり、わけの分からない上司は飛ばしてその上の上司と直談判をしたりと、壁を突き抜けるために闘うことだ。

 このような地味で裏方の活動があってこそ、私たちはいい仕事ができる。組織の要の管理職として、そのような活動を率先して推進したいものだ。また、部下がそのような意識を持っていたら、是非後押ししてあげるべきだろう。この両方があってこそ職場は活性化していく。さて、あなたはどこまでシャドーワーク派だろうか? 普段のシャドーワーク度合いをチェックしてほしい。

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プロフィール

とくおか・こういちろう 日産自動車にて人事部門各部署を歴任。欧州日産出向。オックスフォード大学留学。1999年より、コミュニケーションコンサルティングで世界最大手の米フライシュマン・ヒラードの日本法人であるフライシュマン・ヒラード・ジャパンに勤務。コミュニケーション、人事コンサルティング、職場活性化などに従事。多摩大学知識リーダーシップ綜合研究所教授。著書に「人事異動」(新潮社)、「チームコーチングの技術」(ダイヤモンド社)、「シャドーワーク」(一條和生との共著、東洋経済新報社)など。


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