新型インフルエンザの脅威、大手企業で進む対策 大手金融機関はSARSを教訓に(1/2 ページ)

世界的な流行の危険がある新型インフルエンザに対し、企業が対策をまとめている。従業員が感染すれば、業務の継続に支障が出るからだ。

» 2008年06月26日 16時22分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 世界的に感染が拡大する可能性のある新型インフルエンザに対し、国や自治体がワクチンの備蓄や発生時の模擬訓練などを進めている。厚生労働省の試算では、新型インフルエンザが大流行すれば、日本人の4人に1人が感染するという。ひとたび発生すればまたたく間に感染が広がることが懸念される新型インフルエンザに対し、各企業が対策をまとめている。

 富士通は「状況に応じて対策も変わるため、詳細な取り決めはしていない」としつつも、大地震と同レベルの災害と考え、1年ほど前から事業部ごとに計画を立てている。具体的な対策としては、新型インフルエンザに対する従業員の意識を促すため、全社で定めた事業継続計画の基本方針にのっとり、e-ラーニングによる研修を行っているという。

 米Microsoftは、大災害に遭った場合の相談窓口を設置している。緊急時の相談を電話や電子メールで24時間受け付ける「グローバルセキュリティセンター」を世界3カ所に開設している。新型インフルエンザに感染した場合、窓口に相談をすると、担当者が従業員の在籍する法人に連絡し、帰国の方法などを指示する。「大地震や津波などの災害に遭った海外出張者は既に窓口を活用している」(マイクロソフト)

 交通制限や外出の自粛、備蓄品の整備といった基本的な対策に力を入れる企業も多い。

 NECは、日本で新型インフルエンザが発生した場合、状況に応じた事業所の閉鎖や入場制限を検討している。感染者が出た場合は、在宅勤務や交代制勤務を指示する。「手洗いを40秒行うといった基本的な取り組みも進めている」(NEC)

 富士通では、特定の事業所でワクチンや防具服、マスクなどの備蓄品を準備しているという。感染した人が、本社に移動せずに近くの事業所で仕事ができる環境を整えることで、通勤による感染拡大を防ぐ狙いだ。

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