ミューチップ採用の図書が30万冊 「赤レンガ図書館」に行こう突撃! ユビキタス空間(2/2 ページ)

» 2008年06月28日 09時12分 公開
[藤村能光,ITmedia]
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 ミューチップの採用は、ユーザーだけでなく、図書館スタッフの業務の利便性も向上させる。

 北区立中央図書館では、蔵書点検の効率化を課題としていた。従来はハンディリーダで蔵書を1冊ずつ点検する方法を取っていたが、「1人1時間当たり600〜1000冊の点検で精一杯」(東京都北区立中央図書館の小野克巳図書主査)だった。

 1日で1人が点検できる冊数は大きく見積もって「7000〜8000冊が限界」。これまでは、30万冊すべてを点検するのに3、4日を費やしていた。

 今回採用したミューチップは、非接触で情報を読み取れる。書架に並ぶ図書の背表紙上を専用のリーダでスライドさせると、蔵書点検が完了する。一般的な本棚の幅は90センチ。そこに50冊の図書が並んでいる場合、「約3秒で読み取れる」(日立製作所全国公共営業本部の西川良太主任)

専用端末をスライドさせると、即座に情報を読み取れる。リーダには柄がついており、上下の書架の図書も読み取りができるように配慮されている

 従来の蔵書点検に比べて点検のスピードは飛躍的に上がる。だが実際には「電波で情報を伝達するICタグでは、読み取りミスをゼロにはできない」(小野氏)。今回採用した非接触性のコンビタグでは、「50冊中、1〜2冊は読み取り漏れが起きてしまう」

 この問題には、蔵書点検を日常業務に組み入れることで解消すると小野氏。「例えば、1年に10回以上点検をして、そのすべてで読み取れなかった図書があれば、不明本として処理する」。点検を素早い時間で繰り返し行うことで、読み取りの精度を100%に近づけていく。

 コンビタグはコストの削減にも寄与する。図書館で採用している13.56MHzの一般的なICタグに比べて、「約20円安い価格で提供できる」(西川氏)という。

 「今後蔵書を50万冊まで増やす予定であり、ランニングコストの削減においても大きな効果が期待できる」(小野氏)

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