ビル・ゲイツ、去る――1つの時代に幕(4/7 ページ)

» 2008年06月30日 05時29分 公開
[Stan Gibson,eWEEK]
eWEEK

インターネットの潮流

 採算性の高い製品を大量の販売する戦略が、ほかのどの競合社も持ち得なかった、大規模かつ堅牢なMicrosoftの財政的基盤を築いた。成功のうえにあぐらをかき、油断をするのは簡単だったろう。これを恐れたゲイツ氏は、どんな企業でもわずか2年で事業をたたむはめに陥る可能性があると折に触れて繰り返し、長きにわたって士気の低下を厳しく戒めてきた。

 それでもなおゲイツ氏は、1990年代初頭に登場し、コンピュータ以来の大きな影響力でビジネスを変えたインターネットの台頭に不意打ちを食らった。

 前述の通り、同氏は最初、インターネットをデスクトップやサーバシステムより下のものととらえ、必然的にあらゆる種類のネットワークを軽視していた。だがその後は、まるで天啓を得たように次々と鋭い洞察力を発揮し、それが1995年の有名な「押し寄せるインターネットの波」のメモへと発展した。同氏はこのメモの中で、インターネットを最優先課題とし、Microsoftの取り組みのすべてに絡ませていくことを宣言している。

 ゲイツ氏とMicrosoftは、危うくこの分岐点を見逃すところだった。本当に見逃していれば、致命的とはいわないまでも、かなりの打撃を受けていただろう。こうしてゲイツ氏は再び他社が開拓した市場へ参入し、あの手この手で支配的な地位を占めたのである。

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