脆弱性指摘されるアジアのネットワークを強化――ベライゾン ビジネスの戦略key person(2/2 ページ)

» 2008年07月04日 10時14分 公開
[小松崎毅,ITmedia]
前のページへ 1|2       

IT enablerでありたい

 このような海底を走るインフラとしての「物理的」なネットワークが拡大するとともに、地上を走る高速ネットワークについても同社は最新の技術を投入している。それがULH(Ultra Long Haul/ウルトラロングホール)というファイバーネットワーク。従来は信号再生器を通して「光・電気・光」と変換して伝達されていた信号を、光のみで伝達する。これにより長距離を変換なしのダイレクトで高速転送することが可能となった。中継する機器が不要になることで故障などのトラブルを減らし、ネットワークの遅延を圧倒的に低減させた。アメリカ国内をはじめ、ロンドン、パリ、アムステルダム、フランクフルトなどヨーロッパ主要地域に張り巡らせているULHを、日本においては東京―丸山(千葉県南房総市)間への敷設が完了している。

 こうしたネットワークを通して、全世界に渡り膨大な量のデータ転送が可能となった。だがそこで危惧されるのが、セキュリティの問題だ。2007年には世界中で1億6200万のデータ漏えいや盗難の被害があったという報告がある。だがこれは報告のあった範囲内での数値で、実際にはこれ以上の被害があったことが予測できる。

 同社は2007年7月にセキュリティプロバイダ、サイバートラスト社を合併し、データのセキュリティ・マネージメントについても最大のサービスを提供できる企業となった。

 「今回、日本企業のCEO、CIOの方々と会食する機会が何度かありましたが、どの方も最大の懸念はセキュリティにあると語っていました。我々にはその期待に応える自信があります」とドハティ氏。

 強固なネットワークとして地道に評価を高めても、ひとたび漏えい被害に遭えば途端に築き上げた信用を失ってしまうものだ。同社では地球規模の24時間の監視体制を敷き、緊急時に備えている。また顧客の企業に対しては、ネットワークだけでなくデータやアプリケーション、ユーザーの行動にいたるまでの全体的なアプローチからセキュリティ支援を行う。

 「企業側では安全だと信用していても、我々が調査すると10回に8回の頻度でセキュリティの脆弱性が発見されます。その弱点を補強することでより強固なセキュリティレベルを確保することが可能です」と自信をうかがわせる。日本をはじめとするアジア各国は、世界レベルで見るとまだセキュリティの意識で出遅れている。一企業として、新たにサービスを提供できるビジネスチャンスがある地域としての注目度も高い。

 「景気の面から見ると、日米とも全体の成長率が1ケタに落ちてきていることは認識しています。しかしネットワークに関してのニーズはさらに高まっており、2ケタの伸びを見せる市場です。そこに対してどういったサービスを提供していくのかは、今後も継続して向き合うべき課題」と受け止めている。

 世界規模でビジネスを展開する企業は多く、すでにネットワークの構築はなされている。しかしこれらも一昔前に構築されたもの。ネットワークの新旧交代の時期が迫っている企業は少なくない。

 「我々は、今後もベライゾンを利用して企業が生まれ変わるためのあらゆる提案をしていきます。常に最良の環境を提供し、企業の希望を叶え続けるIT enabler(ITを実現する企業)でありたい」と、ドハティ氏は語った。

過去のニュース一覧はこちら

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ